2020.7.2
, EurekAlert より:
黒人、アジア人、少数民族(BAME)集団における重症COVID-19感染数が高いことは、社会経済学的あるいは行動学的因子、心血管系疾患リスク、ビタミンD状態によっては説明できない、という英国クイーンメアリー(ロンドン大学)からの研究報告。
本研究は、COVID-19感染とエスニシティの間の複雑な関係を示唆しており、それを説明するためにはよりひたむきな研究が要求されるだろうという。
クイーンメアリーの研究者らはMRCの研究者らとの共同で、包括的かつ唯一の50万人以上の英国バイオバンクコホートのデータを用いて、社会経済学的、生物学的、行動学的因子が重症COVID-19感染の民族的パターンに及ぼす役割を検討した。データセットには、医療機関でCOVID-19検査をした英国バイオバンク参加者4,510名(うち1,326名が陽性)が含まれていた。
解析の結果、BAME民族性、男性、高いBMI、高い窮乏状態、過密な家庭はCOVID-19の独立したリスク因子だった。BAME集団における重度COVID-19症例の高い割合は、心血管系疾患リスク、ビタミンD状態、社会経済的または行動学的因子の違いによっては十分に説明できなかったという。これは分析に含まれない別の因子の存在を示唆している。
「この分析結果は、COVID-19の民族的な差異の根底にある要因が簡単に把握できないものであることを示唆している。遺伝のような生物学的要因の評価に加えて、複雑な経済や社会行動学的差異をより包括的に評価するアプローチが優先されるべきであろう」と主任研究者のステフェン・ピーターセン教授はコメントしている。
出典は『公衆衛生雑誌』。 (論文要旨)
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