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[その他]  古代アイルランドのエリート支配者の近親婚
2020.6.30 , EurekAlert より:   記事の難易度 3
  

古代墳墓埋葬者の遺伝子解析からエリート階級で近親婚が行われていたことが示唆された、という愛蘭トリニティカレッジの報告。『ネイチャー』誌に発表された。同時に母乳哺育の痕跡も見つけたという。

世界的に有名なニューグレンジ羨道墳の中心から発掘された成人男性の遺伝子解析から、第一度の近親相姦が示唆された。この古代アイルランドのゲノムの調査は、墓室に埋葬されていた男性が王朝のエリートに属していたことを示唆しているという。

「私はそのようなものを見たことがなかった」と筆頭著者であるララ・キャシディ博士は言う。「私たちは皆、ゲノムのコピーを2組継承する。1つは母親から、もう1つは父親からだ。この個体のコピー同士は非常に類似しており、近親交配の証拠となる。実際、私たちの分析によれば、彼の両親は第一度近親者同士だった。」

このタイプの交配(例えば兄弟姉妹)は、文化的および生物学的な理由から、ほぼ普遍的な禁忌である。第一度の近親相姦の唯一の確認された社会的受容はエリートの間に見つかる(典型的には王族にみられる)。ルールを破ることによって、エリートは階層を強化し、権力を正当化して、一般の人口からそれ自身を分離する。公共の儀式と贅沢な記念碑的な建築が、同じ目的を達成するために、しばしば王家の近親相姦と共存する。

特筆すべきは、地域の神話が、今回の結果とニューグレンジ太陽現象を結びつけていることだ。それは建立後4千年を経た11世紀に初めて記録されたもので、妹と眠ることによって日々の太陽周期をリスタートさせる建設者-王の物語である。近隣のドウス羨道墳の中期アイルランド語の地名(Fertae Chuile)は、この伝承に基づいており、「罪の丘」と訳すことができる。

ゲノム調査では他にも予期しない結果が明らかになったという。島で最も古くから知られている埋葬構造であるプルナブロン門の墓の中で見つかった、診断された最古のダウン症候群の症例は、5千5百年前にそこに埋葬された男児だった。この乳児の同位体分析から、母乳哺育の特徴が検出された。さらに、これは、遠い過去において、目に見える違いが威信ある埋葬への障壁ではなかったことを示している。

出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)      
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