2020.6.26
, EurekAlert より:
(※この記事は専門家向けです。まだ確定していない最新の知見を含みます。)
新三種混合ワクチン(MMRワクチン:麻疹、流行性耳下腺炎、風疹)の接種には、COVID-19感染による感染性炎症を弱める予防効果が期待できるかもしれない、という米国ルイジアナ州立大学などからのパースペクティブ。
「弱毒生ワクチンは、標的病原体に対する免疫と同様に、いくつかの非特異的な利点を持っているようだ。高リスク集団におけるMMRを用いた臨床試験は、COVID-19パンデミック時の命を救う上でロウリスク・ハイリターンの予防策を提供するかもしれない」と主任研究者のポール・フィーデル博士は述べている。
増加するエビデンスは、弱毒生ワクチンが、後続の感染に対する宿主応答の改善のために訓練された非特異的自然免疫細胞を誘導することにより、ワクチンの標的病原体とは無関係の致死的感染に対する非特異的保護を提供することを示しているという。
最近の出来事は、研究者の仮説をサポートしているという。COVID-19(1回のみの入院)の検査で陽性となったUSSルーズベルトの955名の乗員に見られたより穏やかな症状は、MMRワクチン接種がすべての米国海軍新兵に与えられたという事実の結果である可能性がある。
疫学的データは、MMRワクチンを日常的に接種し、COVID-19の死亡率を低下させた地理的な場所にいる人々の間の相関を示唆しているという。
COVID-19は子供たちに大きな影響を与えていない。研究チームは、子供たちが敗血症を引き起こすウイルス感染から保護される一つの理由に、それらを制限する訓練された骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)を誘導する弱毒生ワクチンへのより最近のより頻繁な曝露があるという仮説を立てている。
研究者らは、MMRワクチンがCOVID-19を防御できるかどうかをテストする臨床試験を提案しているが、それまでの間、すべての成人、特に医療従事者と老人ホームの入居者がMMRワクチンを接種することを提案している。
「大人が子供のときにMMRワクチンを接種している場合、麻疹、おたふく風邪、風疹に対するある程度の抗体はあるが、おそらく骨髄由来のサプレッサー細胞はない」とフィーデル博士は述べている。「MDSCは長命だが、生涯にわたる細胞ではない。したがって、ブースターMMRで、はしか、おたふく風邪、風疹に対する抗体を増強し、MDSCを再開することだ。我々は、MMRによって誘発されるMDSCがパンデミックの危機的な時期を乗り切り寿命を延ばしてくれることを期待している。」
出典は『mBio』。 (論文要旨)
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