2020.6.18
, EurekAlert より:
場所に関する記憶は、その記憶へのアクセスが悪くなるために思い出せなくなるが、記憶自体の正確さが低下するわけではないようだ、という英国ヨーク大学からの研究報告。
研究チームは、18-35歳の400名以上の参加者のオンライン調査で、ある特定の位置に関する記憶は、完全に忘れ去られるか、もし覚えているなら最初に記憶した時に近い正確さで覚えているかのどちらであることを発見したという。
「我々の研究は、もし忘却が起こるなら、どのような種類の情報が失われるのかを明らかにするものだったが、我々は、忘却は、記憶へのアクセシビリティが失われるので、記憶そのもの(の正確性)が変わるわけではないことを示した」と共同研究者のアイダン・ホーナー博士は語っている。
参加者は、円上の単語の位置を覚えるように要請された。そして単語を示された時にその単語の円上の位置を思い出すテストを受けた。これは駐車場での車の位置を覚える行為に類似している。
時間経過とともに記憶がどう薄れていくかを検証するために、参加者は、10分間から4日間の感覚をおいてテストを受けた。
その結果、テストまでの期間が長くなるほど、覚えている単語と円上の位置の関連記憶の数は低下した。だが、思い出せた記憶については、短期のテストと同じくらい正確であったという。
研究チームはまた、同じテーマの単語が特定の場所にクラスター化されて参加者がパターンを抽出できるようにすると、記憶に役立つかどうかを調べた。パターンが存在すると、参加者は単語と場所の関連を覚えている率は上昇したが、記憶の精度は低下したという。
ホーナー博士は、「アクセシビリティと精度の間にはトレードオフがあるようだ。これは、たとえば毎日ほぼ同じ場所に車を駐車している場合、どこに駐車したかを覚えている可能性が高まるが、特定の日に駐車した場所を正確に覚えている可能性は低くなるということだ」とコメントしている。
出典は『ネイチャー人間行動』。 (論文要旨)
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