2020.6.16
, EurekAlert より:
COVID-19にかかると、健康だった人が糖尿病を発症したり、元からの糖尿病患者では重篤な合併症を引き起こすおそれが示唆された、と国際的な糖尿病専門家グループが警告している。これまでにも糖尿病患者はCOVID-19の重症化率・死亡率が高いことが指摘されており、COVID-19と糖尿病に双方向の関係がある可能性が示されている。
これまでに、COVID-19で死亡した患者の20〜30%は糖尿病であることが報告されている。一方で、COVID-19の患者においては、新たに糖尿病を発症したり、元々糖尿病であった患者には、糖尿病ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧症候群などといった命にかかわるような重度の合併症がみられるケースがあるという。
COVID-19を引き起こすウイルスであるSARS-Cov-2がどのように糖尿病に影響を与えるかはまだはっきりとはしていない。先行研究では、SARS-Cov-2に結合してウイルスをヒト細胞に侵入させるたんぱく質・ACE-2が肺だけでなく、膵臓、小腸、脂肪組織、肝臓、腎臓などのグルコース代謝に関与する臓器や組織にも存在することが示されている。
研究者らは、これらの組織に侵入することにより、ウイルスがグルコース代謝のいくつもの複雑な機能障害を引き起こす可能性があると仮の仮説を立てている。また、ウイルス感染が1型糖尿病を誘発することも既知の事実だ。
キングスカレッジロンドンの代謝外科教授であり、この研究プロジェクトの共同主任研究者であるルビーノ氏は、次のように述べている。「糖尿病は最も蔓延している慢性疾患の1つであり、現在、2つのパンデミック間の避けられない衝突の結果を認識しています。この新しいコロナウイルスと人間の短期間の接触で、ウイルスがグルコース代謝に影響を与える正確なメカニズムはまだ不明であり、これらの患者の糖尿病の急性症状が典型的な1型や2型なのか、または新しいタイプのものであるかはわかっていないのです」。
出典は『ニューイングランド医学雑誌』。 (論文要旨)
|