2020.6.12
, EurekAlert より:
脳に幸福感を生み出すといわれる化合物セロトニンが、腸内病原菌の致死的な感染を抑えるかもしれない、という米国テキサス大学からの研究報告。
研究チームは、しばしば致命的な食中毒流行を定期的に起こしている大腸菌O157を用いて実験を行った。
実験室で培養したこの病原菌をセロトニンに曝露させた結果、遺伝子発現試験からこの病原菌がセロトニンによって感染を引き起こすための遺伝子群の発現を有意に減少させることがわかったという。
次に研究チームは、マウスを使って、マウスにO157のような症状をもたらすシトロバクター・ロデンティウムの感染に対するセロトニンの効果を検証した。マウスは、消化管でセロトニンを過剰にあるいは過小に生産する実験モデルが使われた。
その結果、セロトニン過剰発現マウスでは、C.ロデンティウムの感染は、比較的軽微な病気の経過を示したという。逆に過小発現マウスでは、感染の症状が重篤になり、しばしば死亡した。
研究チームは、大腸菌とC.ロデンティウムの両方の表面にあるCpxAとして知られるセロトニンに対する受容体を同定した。
このCpxAは多くの腸内細菌に存在するため、セロトニンは腸内細菌の健康に広範な影響を及ぼす可能性がある、と主任研究者のヴァネッサ・スペランディオ博士は語っている。
出典は『細胞:宿主と病原菌』。 (論文要旨)
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