2020.6.11
, EurekAlert より:
COVID-19パンデミックほどの大規模な社会的孤立はこれまでなかった。カナダ・マギル大学などの研究チームは、社会的孤立が、我々の心理的幸福と身体の健康に及ぼすマイナスの影響(寿命の短縮など)について探っている。
孤独感は直接免疫系を損ない、病気や感染症への耐性を低下させる。実際、孤独を感じ、友人が少ないと、免疫防御が特に低下する可能性がある。
それに対して、より社会的に統合されている人々は、収縮期血圧の低下、BMIの低下、CRP(炎症マーカー)レベルの低下など、生理学的機能のバイオマーカーをより適切に維持しているという。
人間は非常に社会的であり、社会的相互作用から心理的および肉体的に恩恵を受けている。たとえば、友人のネットワークに組み込まれているほど、病気になる可能性が低くなり、生存率が高くなる。スポーツクラブ、教会、趣味のグループなど、より多くのグループに属する人々は、将来のうつ病のリスクをほぼ25%削減することが報告されている。
研究チームがこれまでの幅広い研究を調査した結果、孤独感がもたらす可能性のある深刻な影響の全体像が明らかになったという。
●強力な対人関係を持つことは、全寿命にわたって生存するために重要である ●社会的孤立は、死亡リスクの重要な予測因子である ●不十分な社会的刺激は、推論と記憶のパフォーマンス、ホルモンの恒常性、脳の灰色/白質、接続性と機能、ならびに身体的および精神的疾患に対する回復力に影響を与える ●孤独感はソーシャルネットワークを通じて広がり、社会的認識に悪影響を及ぼし、罹患率と死亡率を増大させ、高齢者ではアルツハイマー病などの認知症の発症を促進する
「我々は社会的生物である。社会の相互作用と協力により、人間の文化と文明の急速な進歩が加速する。赤ちゃんから高齢者に至るまで、対人関係に心理社会的要素を組み込むことは生存に不可欠である。社会的孤立が人間の脳と精神的および肉体的幸福にどのように影響するかという知識のギャップを狭めることは、今まで以上に緊急になっている」と筆頭研究者のダニロ・ブドク准教授は語っている。
出典は『認知科学の傾向』。 (論文要旨)
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