2020.6.10
, EurekAlert より:
恋人との破局の後にエクストララージのアイスクリームに向かうのは映画のお決まりのシーンだが、ネガティブな感情への反応として食べ物に走るというのはどうやら真実であるようだ。墺ザルツブルグ大学の報告。
食べることは、生存のためだけでなく、喜びであり慰めでもあり、そしてまたストレスへの反応でもあるという。だが、感情的な過食(満腹状態を超えてネガティブな感情への反応として食べ過ぎる)は、どか食いのリスク因子であり、過食症のような摂食障害につながる可能性があるという。
研究チームは、ザルツブルグ大学の80名の女子学生を対象に検討を行った。全員が、普通BMIであった。実験では、実験者が対象者の中立的あるいはネガティブな感情応答を引き出すために、文章を読んで聞かせた。ネガティブな文章は、対象者の感情に訴えかける対象者の最近の出来事についてであり、中立的な文章は、対象者が歯を磨くことについてであった。その後、対象者は、食欲をそそる食品と中立的な物体の映像を見せられた。
対象者の表情が筋電計を用いて測定され、脳波が脳波計を用いて測定された。自己報告によるデータも集められた。
研究チームは、感情的に食べる人(食べ物を使ってネガティブな感情を調整する人)と制限的に食べる人(食事をコントロールできる人)を比較した。両者はひとりの中で共存する可能性もあるが、今回の対象者では強い相関を示した者はいなかったという。
解析の結果、感情的に食べる人は、食欲応答がより強く、ネガティブな感情に曝された時に、中立的な感情にいる時に比べて、食物を見た時により大きな喜びを得ることが明らかになったという。制限的に食べる人は、ネガティブな感情に曝された時は食物に対してより注意深く接し、食欲には影響せず、中立的な感情の時に比べて有意な変化はみられなかった。
「本研究は、感情的な過食への理解を深め、その結果は摂食障害の早期発見と治療に役立つ可能性がある」と筆頭研究者のレベッカ・シュニッパー博士候補生はコメントしている。
出典は『行動神経科学の最前線』。 (論文要旨)
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