2020.6.9
, EurekAlert より:
160種の遺伝的に異なる系統のショウジョウバエを用いた実験で、食事制限の寿命への影響と健康への影響は同じではないことが明らかになった。米国バック加齢研究所の報告。
全種の平均的な寿命は延長し、健康寿命も延長したが、個々の種を見ていくと、両者の間には相関がないことがわかったという。
研究チームは、栄養に依存した寿命と、加齢関連の身体活動量の変化を目安とした健康寿命の変化を測定した。97%の種において、食事制限によって寿命あるいは健康寿命の延長が観察されたが、食事制限によって両方が有意に延長した種は50%に過ぎなかった。13%はより活発だったが寿命は短く、5%は長寿だったが健康状態は早く悪くなった。残りの32%の種では、寿命と健康寿命のどちらかに効果があってもわずかか全くない、あるいはネガティブ(短縮)なものであったという。
「食事制限の効果というのはあるが、誰にとってもの万能薬というわけではないようだ」と主任研究者のパンカジ・カパヒ教授は語っている。「今回の結果は驚くべきものであり、ヒトにおいても起きる可能性が高い。というのも、我々はみな遺伝的に異なっており、食事制限の効果が異なる可能性は十分にありそうだからである。さらに我々の結果は、食事制限がいつも健康の改善を伴うような仮定にも疑問を差し挟むものになっている。」
出典は『最新生物学』。 (論文要旨)
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