2020.6.1
, EurekAlert より:
人は決定に強い自信があるとき、それを追認する情報を受け入れ、対立する情報を処理するのに失敗するようだ、という英国ユニバーシティカレッジロンドンからの脳画像処理を用いた研究報告。
本研究は、多くの人の思考プロセスに定着している確認バイアスに寄与する神経プロセスを説明するのに役立つだろうという。
「我々は、自分の信条に反する情報を無視させる、確認バイアスとして知られる現象の、認知的および神経メカニズムに興味をもっている。たとえば、地球温暖化懐疑論者は、世界中で気温が上昇していることを示す科学的根拠を無視するかもしれない」と筆頭研究者のマックス・ロールウェジ博士候補生は述べている。
「心理学者はずっと以前からこのバイアスに気付いていたが、その根底にあるメカニズムは依然として理解されていなかった。 我々の研究は、人が自分の考えに強い確信をもっているときには、脳が相反するエビデンスに盲目になることを発見した。これが、我々が新しい情報が出ても考えを変えない理由の説明になる。」
この研究では、75人の参加者が単純なタスクを実行した。参加者は、ドットの雲がコンピューター画面の左側または右側に移動しているかどうかを判断した。次に、50%から100%の確実なスライドスケールで、信頼度(彼らの応答がどれほど確実であるか)を答えた。
この最初の決定後、参加者は再び動くドットを見せられ、最終決定をするように求められた。情報は2回目にはいくぶん明確になり、初回の間違いを訂正する助けになるようにしてあった。ところが、最初の決定に強い信頼を感じた人は、新情報を得ても間違いを訂正することは稀だったという。
25人の参加者はまた、MEG(脳磁図)と呼ばれる脳スキャナーの検査を受けた。研究チームは、ドットの動きを追う参加者の脳内活性をモニターした。
この脳活動に基づいて、研究者らは参加者が新しく提示された情報をどの程度処理したかを評価した。参加者が最初の選択にあまり自信がなかったとき、彼らは新しい証拠を正確に統合した。けれども、参加者が最初の選択に非常に自信を持っていた場合には、参加者の脳は、自分の決定に矛盾する情報には事実上盲目だったが、自分の選択を確認する情報には敏感だったという。
研究チームは、人々が自分の信念に立ち向かう意欲が高い現実のシナリオでは、その効果はさらに強いかもしれないと述べている。
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
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