2020.5.28
, EurekAlert より:
重要な変更をコイン投げで決める人々はその決断を続ける可能性が高く、その決断により満足しており、6ヶ月後の全体的な幸福度が高まるようだ、という米国シカゴ大学からの研究報告。
誰でも人生を変える可能性のある困難な決断に直面することがある。仕事を辞める、大学院に進学する、パートナーと別れる、など。行動経済学はいくつかの意思決定モデル(「プロスペクト理論」や「サンクコストの誤謬」)を提供しているが、それらは重要な意思決定における人々の全体的な幸福についてはほとんど語られていなかった。
シカゴ大学のスティーブン・レビットは、参加者が一連の質問に回答するウェブサイトを立ち上げ(ヤバイ経済学実験)た。幾つかの質問サンプルはレビット(『ヤバイ経済学』の共著者のひとり)が作った:「仕事を辞めるべき?」「引っ越すべき?」「採用するべき?」。参加者はまた彼ら自身の質問を作るように誘われた:「刺青を入れるべき?」「オンラインデートしてみるべき?」「借りるべきか買うべきか?」。
参加者は、コインのオモテとウラをハイとイイエに割り付けた。コイン投げの前に、参加者は彼らの結果を検証するための第三者を指定するように促された。参加者と第三者の両方が、2か月後と6か月後に追跡調査を受けた。
2ヶ月後の調査では、参加者は現状維持を好み、コインを投げる前に予想したよりも変更の頻度が少なかったが、6か月後の調査では、現状維持はなくなった。さらに、コインが変更をするほうに出た参加者は、実際に変更する傾向がみられ、実質的により幸福になったと報告する傾向がみられた。すべての質問において同様の結果が得られたという。
これは従来の選択理論とは一致しない結果であるという。従来の理論では、どちらを決断したかに関わらず同じようにしあわせであることが報告されていた。
「社会は我々に、”辞めた者は決して勝利せず、勝利者は決して辞めない”と教えるが、我々の結果が示唆しているのは、我々はもっと辞めた方がもっと良くなれるかもしれないということである」とレビットは言う。「現状を変化させるような行動を選ぶことが、たとえその結果を自分では決められなくても、現状維持よりは良いということなのだ。」
出典は『経済学研究レビュー』。 (論文要旨)
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