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[病気]  断食風食×ビタミンCとがん療法
2020.5.27 , EurekAlert より:   記事の難易度 2
  

断食を模倣した食事法「断食風食」を高用量ビタミンCと組み合わせることで、特定のがんの治療により効果的である可能性が動物実験により示された。米・南カリフォルニア大学の研究。

大腸がんを持つ複数のモデルのマウスを用いた研究で、断食風食とビタミンCが腫瘍の進行を遅らせることが発見された。一部のマウスでは、疾患の退行もみられたという。

「完全な非毒性の介入が、侵襲性の高い癌をどのように効果的に治療できるかを初めて実証しました」と論文の著者であるロンゴ教授は話している。「私たちは、老化を遅らせるための介入法として広く研究されている2つの治療法(断食風食とビタミンC)を採用し、それらをがんの強力な治療法として組み合わせました」

断食は依然としてがん患者にとって挑戦的な選択肢であるが、それより安全で実行可能な方法として、体が断食している時のように細胞を反応させる、植物性食品主体の低カロリー食があると教授らは述べている。

ビタミンCがガンに対抗する可能性に関する従来の研究の結果はまちまちだ。しかし最近の研究では、特に化学療法との併用で、ある程度の有効性を示したものも出てきている。この新しい研究では断食風食が、「がん細胞は生き残れないが正常細胞にとっては安全な環境」を作り出すことで、高用量のビタミンCの抗腫瘍作用を強化できるかどうかを確かめようとした。

「私たちの最初の生体外実験は顕著な効果を示しました」とロンゴ教授。「断食風食またはビタミンCいずれか単独の場合、がん細胞の増殖が減少し、がん細胞死はわずかに増加しました。ところが、併用すると劇的な効果があり、ほぼすべてのがん細胞を死滅させることができました」

研究グループは、がん研究の中でも最も困難なターゲットの1つと見なされている変異を持ったがん細胞でのみ、この強力な効果を認めた。KRAS遺伝子における変異は、体がほとんどのがん治療に抵抗していることを示し、患者の生存率は低下する。KRAS変異は、人間のがんの約4分の1に発生し、大腸がんでは最大で半数に発生すると推定されている。

この研究ではまた、ビタミンCを用いた抗がん療法に関する従来の研究で有効性をがあまり示されなかった理由についての手がかりを提供することになった。ビタミンC療法自体は、鉄と結合するたんぱく質・フェリチンのレベルを増加させることにより、がん細胞からKRAS変異細胞を保護するように見える。しかし、フェリチンのレベルを下げてみると、がん細胞に対するビタミンCの「毒性」を高めることができた。この発見をする中で、研究グループは鉄結合たんぱく質のレベルが高い大腸がん患者は生存率が低いことも見出した。

研究チームは以前の研究で、断食や断食風食が化学療法に関連する副作用から正常細胞を保護しながら、がんの進行を遅らせ、化学療法をより効果的にすることを示している。この組み合わせにより、乳がんと黒色腫のマウスモデルにおける免疫系の抗腫瘍反応が強化されたという。

副作用の少ないがん療法を目指し、さらに現在は人間を対象にした断食風食の様々な臨床試験を進行中とのことだ。

出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)      
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