2020.5.22
, EurekAlert より:
どうしても運動不足になりがちな外出自粛生活。心身の健康を守るために張り切ってジョギングを始めたりしなくても、室内を歩き回ったり家事をするだけでストレス軽減やBMIの低下などのメリットがあるという。「気張らず確実に続けられる」ことがポイントのようだ。米・アイオワ大学の研究。
外出自粛の要請がなされる前でさえ、身体をもっと動かし座位時間を少なくすることは、多くの人にとっての課題だった。昨今の状況から、今まで通りに仕事や決まった運動を行えなくても、私たちが家での行動をほんの少し変えれば精神的な健康の改善の助けになるという。
最新の研究で、長い座位時間を「睡眠」に置き換えると、ストレス低下、気分の改善、ボディマスインデックス(BMI)低下と関連することが明らかになった。また「軽い身体活動」に置き換えた場合には、気分の改善、翌年に渡りBMIが低下するという。
論文の筆頭著者であるアイオワ州立大学のマイヤー准教授は、「軽い身体活動」は電話で話しながら室内を歩いたり、夕食の準備で立ったりすることでもよいとしている。
「皆さんはこれらの活動のうちいくつかは身体活動と考えることさえないかもしれません」とマイヤー准教授。「軽い身体活動は、ジムに行ったり、仕事に歩いて行ったりするよりもはるかに低い強度ですが、長時間座り続けることの解消に、これらの方法を行えば(良い)影響を与えるでしょう」
マイヤー准教授らの研究チームは、サウスカロライナ大学で行われたエネルギーバランス研究の一環として収集したデータを用いて解析を行った。対象者は21〜35歳で、10日間に渡りエネルギー消費の状況を自動的に測定し記録するアームバンドを着用してもらった。
睡眠と軽い身体活動の利点に加え、中等度〜高強度の活動はより低い体脂肪とBMIに関連していることも発見された。長時間座り続けることの健康への悪影響を考えると、この調査結果は人々に「続けられそうな小さな行動の変化」を促してくれるのでは、と准教授は話している。
「『何かを大きく変えなくても実行できそうだ』と感じた方が、行動を変えやすいかもしれません。座りがちな時間を家事や他の軽い活動に置き換えるほうが、1時間のランニングに行くことよりも、確実に続けられるのではないでしょうか」
睡眠時間を増やすことは、もう1つの比較的簡単な変更だ。夜遅くまでテレビを見ながら起きているよりも、早く寝て一定の時間に起きることで複数のメリットが得られ、体が回復する、とマイヤー准教授。また寝てしまえば「スクリーンの前に座りながらジャンクフードを食べる」などという、健康に良からぬ行動に走ることもなくなるだろう。
本研究はCOVID-19パンデミックの前に行われたものだが、マイヤー准教授は、いまこの期間にこそ増大するメンタルヘルスの懸念を考慮すると、この結果はタイムリーであるという。
「まさに今起こっている全てのことに対し、これは私たちが制御したり管理できることの1つであり、メンタルヘルスを助ける可能性を持っています」。
出典は『米国予防医学雑誌』。 (論文要旨)
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