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[栄養]  抗酸化物質、摂り過ぎは有害のおそれ
2020.5.20 , EurekAlert より:   記事の難易度 3
  

抗酸化物質の過剰摂取は、体内の酸化還元のバランスを崩し、心臓にダメージを与えるほか、骨格筋量の減少にもつながるおそれが示された。アラバマ大学による動物・細胞実験から。

多くの心臓病は、酸化ストレス(活性酸素種の過剰)に関連している。体内の酸化還元のバランスが酸化に大きく傾いたとき、身体は活性酸素種を減らす内因性の抗酸化物質を生成し、酸化ストレスを減らすよう反応する。このようにバランスをとる動きは、酸化還元ホメオスタシスと呼ばれている。

しかし、酸化還元のバランスが還元に傾き、還元ストレス=「抗酸化ストレス」が発生するとどうなるのだろう?アラバマ大学バーミンガム校のスーラパン准教授らの研究チームは、抗酸化ストレスもまた不健全であることを発見した。この発見は、心不全の管理において臨床的に重要であるかもしれないという。

研究チームは、マウスを用いた実験により、抗酸化ストレスが病的な心臓肥大と拡張機能障害を引き起こすことを明らかにした。「人間の心不全に対する抗酸化薬ベースの治療法は、治療前に(体内の)抗酸化物質レベルの徹底的な評価を考慮するべきです。私たちの調査結果は、慢性的な抗酸化ストレスというのは耐えられるものではなく、心不全を誘発するのに十分であることを示しています」

この研究では、心臓の抗酸化物質の遺伝子の発現を増加させた遺伝子組み換えマウスを用いている。遺伝子の発現量に比例して、抗酸化たんぱく質やグルタチオン(抗酸化物質)の量が増加し、抗酸化ストレスが発生した。あるマウスの系統では遺伝子発現の程度が低く、別の系統では程度が高かったのだが、それぞれのマウスの心臓には慢性的な低度の抗酸化ストレスと高度の抗酸化ストレスが生じていた。

抗酸化ストレスが高いマウスは、肥大型心筋症と呼ばれる病的な心臓の変化を示し、6か月齢の時には心臓の駆出率が異常に高く、拡張機能障害もみられた。高度の抗酸化ストレスのみられたマウスの60%は18ヶ月齢までに死亡した。

抗酸化ストレスが低度のマウスの生存率は正常ではあったものの、約15か月齢で心臓に変化が生じていた。このことは、中程度の抗酸化ストレスでも心臓に不可逆的な損傷が長期にわたって続く可能性があることを示唆している。

さらに、高度の抗酸化ストレス・マウスにグルタチオンの生合成を阻害する化学物質を生後約6週間から投与すると、高度の抗酸化ストレスが予防され、病的な心臓の変化は起こらなかった。

スーラパン准教授らによると、2019年の調査で、米国人の約77%が毎日サプリメントを摂取しており、そのうち約58%の人がマルチビタミンの形で抗酸化物質を摂取していると指摘している。したがって、自分自身の酸化還元状態を知らずに抗酸化物質を慢性的に摂取すると、抗酸化ストレスを引き起こす可能性があり、病的な状態を誘発し、徐々に心臓へ損傷を与える可能性がある。

<抗酸化ストレスが骨格筋に及ぼす影響>

スーラパン准教授らは、筋幹細胞としても知られている筋サテライト細胞に対する抗酸化ストレスの影響についても調べた。筋サテライト細胞は、骨格筋線維の近くにあり、急性または慢性の筋肉損傷後に再生して骨格筋に分化できる細胞だ。老化または糖尿病やエイズなどによって骨格筋量が減少することから、筋サテライト細胞の調節は興味深い。

酸化還元のバランスを酸化ストレスに傾けると骨格筋の再生が損なわれることを准教授らは先頃発表しているのだが、さらに最新の発表では、抗酸化ストレスに傾けると、筋サテライト細胞の分化が著しく阻害されることを細胞実験により示している。

この実験では、培養したマウスの筋芽細胞に抗酸化物質を投与または細胞内グルタチオンを増加させることで、抗酸化ストレスを誘発した。結果、いずれも筋芽細胞の分化が阻害された。最後に、著者らは、抗酸化物質を含まない培地で細胞を培養することで、抗酸化ストレスを取り除くことを試みた。これによって、活性酸素種の穏やかな生成による酸化促進環境が、筋芽細胞の分化には必要であることを発見した。

研究者らはまた、抗酸化遺伝子の負の調節因子のスイッチを切ると、筋芽細胞の分化が阻害されることも示している。

出典は『抗酸化物質と酸化還元信号伝達』。 (論文要旨)      
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