2020.5.19
, EurekAlert より:
YouTube上で英語で発信されている視聴者数上位のCOVID-19関連ビデオの4本に1本以上が、誤解を招くあるいは不正確な内容を含んでいるようだ、というカナダ・オタワ大学からの研究報告。
COVID-19に関する公衆衛生上の誤情報は、以前のパンデミックを上回ってはるかに多くの人々に届いており、潜在的な害をもたらしているようだ。
良質の信頼性の高い情報が、行政府や専門家からもYouTubeを通じて広く発信されているのに、理解困難であったり一般への訴求力に欠けていることがしばしばあり、それゆえ届くべき人々に届かない。
先行研究が示しているのは、YouTubeが、前回の公衆衛生上の危機(豚インフルエンザ、エボラ、ジカ)においては、有用な情報源でも誤情報源でもあったということである。
だが、時間も経ち、現在ではソーシャルメディアの使われ方も変化した。また先行研究ではすべてが検証済みの測定ツールを用いていたわけではなかった。
YouTube上のコロナウイルスやCOVID-19に関する情報の信頼性と質を評価するために、研究チームは、2020年3月21日の時点でもっとも多く視聴されたビデオを検索した。
重複や英語以外のもの、1時間以上のもの、音声または映像が含まれないものを除いた結果、約半数(150件中69件)が解析対象とされた。
各ビデオの信頼性と質にについては、検証済みの採点システム(mDISCERNとmJAMA)で評価した。平均的視聴者に対するコンテンツの有用性は、COVID-19固有のスコア(CSS)を用いた。これはほかの緊急公衆衛生自体において開発された類似のシステムを改変したものである。
専門機関や政府機関の動画は、他のどのソースよりも、COVID-19スコアのすべての指標にわたって正確性、使いやすさ、品質の点で大幅に高く評価されたが、視聴数では目立たなかった。
分析に含まれた69本の動画の再生回数は、合計で2億5780万4146回だった。
ネットワークニュースが視聴の最大の割合を占め(29%)、次いで消費者(22%)、娯楽ニュース(21%)、インターネットニュース(12%)、専門家(7%)、新聞(5%)、教育機関(2%)、 政府機関(2%)の順だった。
50本近くの動画(72.5%)には、事実に基づく情報しか含まれていなかった。しかし、4本に1本以上(19本、27.5%)は誤解を招く、または不正確な情報を含んでおり、6204万2609回の視聴(全体の24%)を占めていた。
誤解を招く19本の動画のうち、約3分の1はエンターテイメントニュースで、ネットワークとインターネットのニュースソースはそれぞれ約4分の1を占めていた。消費者ビデオは全体の13%を占めていた。
誤解を招くまたは不正確な情報にはCSSの基準にひっかかるものもあった。例えば、製薬会社はすでに治療法を持っているが売ることを拒んでいるという信念やいくつかの国では新型コロナのより強力な株が蔓延しているという信念。一般市民には不適切な推奨事項、差別的な発言、陰謀論など。
今回の結果は、特定の1日に収集されたデータに基づいており、しかも英語圏に限られているが、研究チームによれば、今回の状況は、従来YouTubeに関する研究で報告されてきたものをはるかに上回るものだという。
研究チームは、YouTubega強力な未開拓の教育ツールであり、医療従事者はもっと効果的に活用していく必要があるだろう、と示唆している。
出典は『BMJグローバルヘルス』。 (論文要旨)
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