2020.5.14
, EurekAlert より:
アルコール摂取量の増加は、脳卒中と末梢動脈疾患の発症リスクの増加と関連しているようだ、というスウェーデン・カロリンスカ研究所などからの研究報告。
観察研究では、アルコールの大量摂取が特定の心血管疾患のリスク増加と関連していることが一貫して示されているが、この研究法では因果関係を特定できない。
今回スザンナ・ラーソン准教授らの研究チームは、メンデルランダム化と呼ばれる別の研究方法を使用して検討を行った。
この方法は潜在的なリスク因子との関連が明らかにされている遺伝子変異を特定し、それに関わる潜在的な疾患リスクの程度を推定するものである。
「遺伝子変異は受胎時に決定されその後の環境要因の影響を受けないため、リスク因子(今回は大量のアルコール摂取)が疾患の原因であるか、あるいは単に関連付けられるだけなのかを決定できる」とラーソン准教授は語っている。「我々の認識では、本研究はアルコール摂取と幾つかの心血管系疾患の関連を検討した初めてのメンデルランダム化研究である。」
研究チームは、英国の50万人のデータを登録した英国バイオバンクの遺伝子データを解析して、次のような結果を得たという。
●大量のアルコール摂取は末梢動脈疾患のリスクを3倍高める ●脳卒中のリスクを27%高める ●冠動脈疾患、心房細動、大動脈瘤のリスクも高めるようだ
「大量のアルコール摂取は、死亡や障害の原因のひとつとして知られているが、これまでの研究では、心血管系疾患の原因であるかどうかがはっきりしていなかった。多くの人々が定期的に飲酒することを考えれば、飲酒にリスクがあるのか有益なのかを明らかにすることは重要だ」とラーソン准教授は語っている。
研究チームは、本研究が、大量のアルコール摂取と脳卒中、末梢動脈疾患のリスクが関連しているメカニズムはおそらく血圧を介するものであることを示唆するものだと述べている。
出典は『循環器:ゲノム及び精密医療』。 (論文要旨)
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