2020.5.12
, EurekAlert より:
健康関連の正しい知識を持っている子どもでも、ネットで健康情報を検索すると逆に誤った知識を得てしまう可能性が示された。これは、溢れる健康情報を正しく取捨選択する能力の欠如によるもののようだ。米・マイアミ大学の研究。
この研究は、9〜11歳子ども25人を対象に行われた。対象者はふだん自宅・学校の両方で、インターネットを週に数回、1回あたり1〜2時間使用していた。
「この研究は、子どもが肥満関連の健康問題に対する正しい答えをオンラインで見つけることができるかどうか、また、それらの情報の検索をどう進めているのかを確認するために行いました」 と論文著者のブランスカム教授。
教授は、自らの研究チームの発見に驚いたという。というのも、インターネットをすぐに利用したとしても、食品群の数と名前を正確に言うことができた子どもはたった3人しかおらず、各食品群についてどれだけ食べたらよいかを正確に伝えられた子どもは皆無だったからだ。
それぞれの質問は、まずインターネットを使用前に提示され、子どもたちは自分でどれだけ知っているかを確認した。
ある質問では、「毎日どれくらいの身体活動や運動をするべきですか?」に対し、インターネットを使用した後、正しく答えられた子どもは8人も減ってしまった。成人と子ども向けの手引きの違いを認識できなかったために、正しい答えから間違った答えへと変えてしまったのだ。
「私がまったく予期しておらず驚いたのは、子どもたちが特定の質問に対する答えを見つけるために、Google画像検索に直行する頻度でした」と教授。「一部の子供たちは検索を行って、検索結果を見ることさえせず、画像タブをクリックしてその情報を使用し、画像に目を通して答えを得るのです」
ブランカム教授は、この研究は米国の栄養教育システムの脆弱性と公衆衛生システムの将来の問題の可能性を指摘している、つまり、子どもたちの知識の欠如が彼らが将来大人になったときに健康問題を引き起こしかねないと話している。今後は、子どもたちにデジタルリテラシースキルを教えるためのプログラムを開発することを計画しているという。
出典は『栄養教育行動雑誌』。 (論文要旨)
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