2020.4.23
, EurekAlert より:
先駆的な研究が、糖類渇望を最小にして肥満や糖尿病になる可能性を減らすための新たな道を拓くかもしれない、という米国コロンビア大学ズッカーマン研究所からの報告。『ネイチャー』誌に掲載。
人工甘味料は、糖類になりすますことに完全に成功しているわけではない。今回のコロンビア大学のマウスを用いた動物実験は、その原因を説明するかもしれない脳のメカニズムを明らかにしたという。
最も重要な知見は、脳が、単に舌の上に接触した糖類に反応するだけではなくて、腸に入った糖類にも反応していることだという。この特異化された腸から脳への伝達回路の発見は、我々の脳と身体が糖類を探し出すように進化したその方法に対する新たな洞察を提供してくれる。
人工甘味料はこの回路を活性化しないので、それらは糖類ほどには我々を満足させてくれない、というわけであるらしい。
この発見は公衆衛生的に実質的な影響をもつだろう。過剰な糖類の摂取は肥満関連疾患と関連しており、全世界で5億以上の人々に影響を及ぼしている。今回発見された腸から脳への伝達回路を変化させる新しい方法を確立することができれば、糖類の過剰摂取を止める方法もわかるかもしれないからだ、と研究チームは言う。
「我々がダイエットソーダを飲んだりコーヒーに甘味料を入れる時、糖類と同じような味を感じるが、脳はそれが違うと告げている」と共筆頭研究者のフウェイ=エー・タン博士は述べている。「糖類が、ただ糖類のみが特異的な腸-脳回路に反応するというこの発見は、我々の舌だけでなく脳も騙すような甘味料の開発への道を拓くものだ。」
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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