2020.4.22
, EurekAlert より:
母乳は乳児の腸内ウイルスに強く影響し、特に潜在的な病原性ウイルスに対する防御効果を発揮するようだ、という米国ペンシルバニア大学からの研究報告。『ネイチャー』誌に発表された。
この知見は、母乳哺育が乳児と微生物環境の間の相互作用において鍵となる役割を持っていることを示唆する先行研究の知見を拡張するものであるという。この最新の研究は、早期消化器系疾患の予防戦略に影響する可能性があり、母親にたとえ人工乳と併用であっても母乳哺育することを強く推奨するものであるという。
今回、研究チームは、米国とボツワナにおいて、胎便(新生児が最初にする便)と続く乳児の便中のウイルスの数と種類を測定した。
出生時、乳児はウイルスのコロニーを殆どあるいは全く持っていないが、生後1カ月ぐらいで、ウイルスと細菌のコロニーが発達して来るという。ウイルスの数は、腸内容物1g当たり10億にも達する。ウイルスの第一波の大部分は、最初にコロニー形成する細菌中で成長する捕食者になる。生後4カ月になると、ヒト細胞中で複製されヒトの病気の潜在的な原因となるウイルスが乳児の便中に目立つようになる。
母乳哺育には強い防御効果が見られ、これら潜在的な病原ウイルスの蓄積が抑制されたという。
同様の結果が、米国とボツワナの両方の乳児に観察された。
もう一つの結論として、母乳哺育は人工乳のみの場合に比べて、人工乳と併用であっても防御効果が認められたという。
「この知見は、生後すぐにおこる命の危険を伴う感染症についてのより良い理解をもたらしてくれるだろう」と主任研究者のフレデリック・ブッシュマン教授は語っている。
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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