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[病気]  毎日の入浴で心血管疾患リスク低下か
2020.4.15 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

毎日お風呂に浸かる習慣は、虚血性心疾患や脳卒中による死亡リスクの低さと関連しているという。この関連が長期的な大規模疫学研究から示されたのは世界初。大阪健康安全基盤研究所、国立がん研究センターなどによる日本人を対象とした研究。

日本人において一般的な浴槽入浴は、睡眠の質と健康への自己評価の高さに関連しているが、心臓発作、心臓突然死、脳卒中といった心血管疾患のリスクに対し、どのような長期的影響を与えるかは明らかになっていない。

これまで、動物実験や少人数の人を対象とした研究では、浴槽入浴が糖尿病や肥満の改善効果が示されていたものの、一方で、浴槽入浴が脳卒中や突然死を引き起こすとの報告もあり、浴槽入浴と心血管疾患との関連ははっきりしていない。

このことを調査するために、研究者らは多目的コホート研究(JPHC研究)のデータを分析した。対象としたのは、研究参加者のうち循環器疾患及びがんの既往がなく、詳細な調査アンケートに回答した30,076人とした。

アンケートは調査開始時点の1990年に行い、浴槽入浴の頻度を含めた生活習慣、運動、食事、アルコール摂取、体重(BMI)、平均睡眠時間既往歴と服用薬などについて尋ねた。

そして対象者を、浴槽入浴頻度によって「週2回以下」、「週に3-4回」、「ほとんど毎日」の3グループに分け、その後の心血管疾患発症との関連を調べた。

約20年間の追跡期間中に発生した心血管疾患は2097例であり、うち心筋梗塞が275例、心臓突然死53例、脳卒中1769例であった。

データの分析により、浴槽入浴頻度が「週2回以下」のグループと比較して、「ほとんど毎日」のグループは、心血管疾患全体のリスクが28%低下していた。うち虚血性心疾患リスクについては35%低下していたものの、心筋梗塞や心臓突然死については統計学的に有意な関連はみられなかった。なお、脳卒中リスクは26%低下しており、そのうち脳出血では46%、脳梗塞で23%のリスク低下がみられたが、くも膜下出血では関連はみられなかったという。

なお、従来より虚血性心疾患や脳卒中に関連しているとされている、BMI、飲酒、喫煙、運動、職業、教育歴、睡眠時間、ストレス、幸福感、野菜・果物・魚・大豆の摂取量を統計学的に調整しても、結果はあまり変わらなかったとのことだ。

さらに、入浴時の水温と全体的な心血管疾患のリスクとの関連を分析したところ、適温の湯の場合、ぬるめの湯に比べリスクが26%低下、熱めの湯に比べると35%低下することが示された。しかし、脳卒中の全体的なリスクと水温については、有意な関連はみられなかった。

この論文についての論説を記したバーデン博士は、浴槽入浴に関連する死亡例が日本では比較的一般的に起こることを挙げ、高齢であるほど、また水温が高くなるほど、過熱が意識障害による死亡や溺死につながる危険性を示唆している。

なお、この研究は観察研究であるため、リスク低下の原因を特定することはできないこと、また追跡期間中に入浴頻度の変化を再調査していないことが付け加えられている。

出典は『心臓』。 (論文要旨)      
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