2020.4.10
, EurekAlert より:
豪州シドニー大学の研究チームは、甘味の知覚が、異なる種類の食事に微調整されるメカニズムを発見したという。食品が異なる味覚をもたらすことはわかっていたが、その分子経路はこれまで不明だった。
グレッグ・ニーリー教授らの研究チームは、ショウジョウバエを用いた動物実験を行った結果、4つの重要な発見をしたという。
1、ハエが食べた食品は、これから食べる食品の味覚を変える 2.このメカニズムは、脳の学習機能と同じ仕組みが使われる 3.寿命を延伸する分子経路はまた、味覚の促進にも関係する。ハエの寿命を延伸するような食事は、味覚も促進する 4.寿命、学習、知覚はつながっているが、その方法についてはまだ分かり始めたばかりである
ハエは、無糖食品を食べた後、砂糖の多い食品をより強く感じるようになったという。またハエの寿命を延伸するたんぱく質制限食も、砂糖に対する知覚を変化させた。
反応は極めて特異的であり、甘味に対する知覚は高まったがそれはグルコースに対してだけで、フルクトースに対してはみられなかった。今のところその理由はわからないという。
また大量の砂糖によって、甘さの知覚が抑制されることもわかったという。
味覚は、報酬神経伝達物質として知られるドパミンによって制御されているようだ。研究チームはその分子経路をマッピングして、それが学習と記憶機能を制御するのと同じ、さらには寿命を促進するのと同じ分子経路であることを発見したという。
「この研究はショウジョウバエのものだが、人でも同様の分子メカニズムが存在することが知られているし、食事によって味覚が変化することも経験済みであるので、全体としてこのメカニズムは人でも存在するだろう」と共同研究者のシャオピン・ワン教授はコメントしている。
出典は『細胞レポート』。 (論文要旨)
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