2020.4.1
, EurekAlert より:
機械学習技術を用いて大規模データセットから人々の人生の転帰を予測しようとしたがうまくいかなかった、という大規模共同研究の結果報告。
112人の共著者からなる論文は『国立科学アカデミー論文集』に発表され、社会学者とデータ科学者らは、特に刑事司法とソーシャルプログラムにおける、予測的モデリングの使用に注意を呼び掛けている。
160人の研究チームは、統計的および機械学習モデルを組み立てて、子供、両親、家庭のための6つの人生の転帰を予測しようとした。最先端のモデリング技術と高品質のデータセット(400家族以上についての13,000データポイントを含む)を用いても、最良のAI予測モデルは、非常に信頼できるものとは言えなかった。
「数百名の参加者と豊かなデータセットを使っても、最良のAIによる結果は、信頼できるものではなかった」と筆頭著者でプリンストン大学のマット・サルガニク教授は述べている。
「これらの結果が我々に示しているのは、機械学習は魔法ではないということだ。人生航路を予測するうえでは、明らかに別の因子が働いている。本研究はまた、我々にはまだまだ学ばねばならなことが多くあり、今回のような大規模共同研究が、研究者共同体においてものすごく大事であることを示している。」
研究チームは、1998年から2000年に米国の大都市で生まれた約5,000人の子供たちのコホートデータを使用した。これは、未婚の親から生まれた子供たちで、出生時、1歳、3歳、5歳、9歳、15歳の6つの時点で子供とその家族に関する何百万ものデータポイントが収集された。
「結果は目を見張るものだった」と共同研究者でプリンストン大学のサラ・マクラナハン教授は言う。「運が人生の主要な役割を担っているのか、我々の理論にはなにか重要な変数が欠けているのか、どちらかだ。なにか確かなことを知るには時期尚早に過ぎるということだ。」
研究チームは、データセットを用いて、15歳の時点で次の6つの人生の転帰を1つ以上予測することを目標にしていたという。すなわち、子の学業成績、子のグリット(やりぬく力)、家庭の立ち退き、家庭の物質的困難、主たる介護者の解雇、主たる介護者の職業訓練への参加。
研究チームは、現在この領域での研究を継続するための研究費を申請しており、米国社会学会のオープンアクセスジャーナルである『ソシウス』誌の特集号に12報の論文を発表したところである。
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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