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[病気]  糖尿病の新治療、ビタミンD受容体がカギに?
2020.4.1 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

膵臓のβ細胞のビタミンD受容体レベルを維持することにより、糖尿病の予防や、膵臓細胞のダメージ軽減に役立つことが示唆された。将来、この受容体が糖尿病予防・治療における重要なターゲットとなる可能性がある。スペイン・バルセロナ大学の動物実験から。

インスリンを合成し分泌する、膵臓のβ細胞のビタミンD受容体レベルを維持することにより、糖尿病の予防や、病状の悪化によって引き起こされる膵臓細胞のダメージ軽減に役立つことが示唆された。この受容体が疾患の予防および治療における潜在的な標的になるかもしれない。

ビタミンD欠乏症は、1型・2型両方の糖尿病の有病率と関連があり、糖尿病とビタミンD受容体遺伝子の変異との関係も報告されている。それにもかかわらず、ビタミンD受容体が糖尿病の発症、特にβ細胞にどう関与しているのかはわかっていない。そのため、この新しい研究ではマウスを用いて、糖尿病の発症においてこれらの膵臓細胞のビタミンD受容体が果たす役割を解明することに尽力した。

<糖尿病患者におけるビタミンD受容体発現の減少>

研究者らは、1型・2型両方の糖尿病マウスの膵島でビタミンD受容体の発現が低下することに気づいた。さらに彼らはまた、糖尿病マウスのβ細胞におけるビタミンD受容体の過剰発現が疾患を緩和することを実証した。一方でそれと同時に、ビタミンD受容体のレベルを一定に保つことで、β細胞の量と機能を維持し、糖尿病から保護することを証明した。

これらの結果は、ビタミンD受容体の発現を維持することが、β細胞のダメージを打ち消し、病気の進行を防ぐのに不可欠である可能性を示唆している。「ビタミンD受容体の一定レベルの維持は、遺伝子組み換えマウスを重度の高血糖発症を予防し、β細胞の量を部分的に維持し、それにより局所的な炎症や糖尿病を緩和しました」と研究の調整役であるカセーリャス博士。「これらすべてが、糖尿病の病態生理学におけるビタミンD受容体の前例のない役割を明らかにしています」。

<グルコースはビタミンD受容体を刺激>

研究者らはまた、ビタミンD受容体の発現が血糖レベルと負の相関があること、つまりグルコースがビタミンD受容体を刺激することを確認しました:「意外にも、絶食後など血糖値が低い場合、ビタミンD受容体が減少することを示しました」。これを糖尿病患者の膵臓細胞の特徴と関連付けると、「これらの結果は、糖尿病が細胞内グルコース濃度の低下に関連しているという事実により説明できる」ということが浮かび上がった。

<糖尿病の治療におけるビタミンDの有用性>

糖尿病の予防法としてビタミンDを補うことの利点は広く報告されているものの、病態を改善する上での有効性に関する臨床データは十分でない。「ビタミンDサプリメントの効果に関する結果が一致していないのは、糖尿病時のビタミンD受容体の負の調節が原因の可能性があります」と、カセーリャス博士はこれらの結果に基づき指摘している。

そのため研究者らは、肯定的な結果を得るためには、ビタミンD受容体発現の低下がない場合に、ビタミンDの投与計画を立てる必要性を示唆している。「したがって、糖尿病治療のための将来の戦略としては、糖尿病におけるビタミンD受容体の負の調節の元になっているメカニズムをより理解し、ビタミンD受容体レベルの回復に焦点を当てるべき」と結論付けている。

出典は『糖尿病』。 (論文要旨)      
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