2020.3.30
, EurekAlert より:
貧困生活や貧困層への奉仕活動と言った過去に経験だけでは貧困状態にある患者への共感を作り上げるのには不十分であるようだ、という看護学生を対象にした米国トーマスジェファーソン大学からの研究報告。
研究チームは、104名の看護学学生を対象に、ヘルスケアの文脈で共感を測定するために、ジャファーソン共感スケールという国際的に使用されているツールと、貧乏に対する態度(Attitudes Towards Poverty)と呼ばれる検証済み調査票(簡易版)を用いた。また学生の人口統計学的なデータも収集した。これには生活における貧困経験や奉仕活動に関する質問が含まれていた。
「我々がまず驚かされたのは、個人的な貧困体験がかならずしも共感スコアを高めなかったことだ」と筆頭研究者のカレン・アレクサンダー博士は語っている。「事実、そのスコアは平均と同じだった。さらに驚かされたのは、奉仕活動を通じて貧困に向きあった学生は、他の者に比べて共感スコアが低かったということだ。」
「多くの医学・看護学教育において奉仕活動の経験は中心心的な役割をはたしていている」とアレクサンダー博士は言う。「それによって、思い込みを打ち砕き汚名を取り除くことができると考えられている。ところが、そのような効果はないのかもしれないということだ。我々の結果が示唆しているのは、奉仕を学ぶだけでは十分ではないどころか、有害でさえあるということである。」
学生は彼らの偏見を奉仕活動に持ち込むが、その偏見が変わるより確証されるということなのだろう、とアレクサンダー博士は説明している。
出典は『看護教育雑誌』。 (論文要旨)
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