2020.3.17
, EurekAlert より:
ピーナッツアレルギー患者19例を対象とした新たな研究から、アレルギーを引き起こす抗免疫グロブリンE(IgE)抗体が腸管内で多いことが明らかにされた。米国スタンフォード大学などによる研究。
食物アレルギーによる反応は幅広く、軽度の炎症から生命に関わるアナフィラキシーまで、どのタイプの抗体が食物抗原に結合するかによって異なる。例えば、IgGがピーナッツたんぱく質に結合すれば無害であるが、IgEが結合するとアナフィラキシーとなる場合がある。食物アレルギー患者の組織中におけるIgE産生B細胞を調べた研究はほとんどないが、その理由の一部として、そうした組織の検体採取が難しいこと、またIgEが短時間しか存在しないことが挙げられる。
今回ラモナ・ホーらは、ピーナッツたんぱく質経口免疫療法を受けた患者19例について治療開始前にルーチンで行われた生検を調べ、胃、十二指腸および食道のB細胞系列形質細胞の抗体遺伝子について配列決定を行った。
その結果、IgE産生形質細胞が胃および十二指腸で多いことが分かった。多くの患者で、同様のピーナッツ反応性のIgE DNA配列が共通に認められ、このことから異なる個人の免疫系においてピーナッツたんぱく質の認識が同様に行われていることが示唆された。
また、IgEをコードする複数の配列が同じ腸管組織中の他の抗体でも共通して認められ、これにより腸内環境内に存在する形質細胞においてCSRが生じIgEが産生されていることが示唆された。
『サイエンス』誌に掲載された関連パースペクティブでデュアンヌ・ウェーゼマンとキャスリン・ナグラーは、IgE産生をもたらすCSRが生じるのに適した腸内環境の特徴を明らかにし、また経口免疫療法後の腸内におけるIgE産生に何が起こっているのかを明らかにすることを、今後の研究にとって優先度の高い問題とすべきであると論じている。
出典は『サイエンス免疫学』。 (論文要旨)
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