2020.1.29
, EurekAlert より:
高たんぱく質食は体重を減らし筋肉を作るのを助けるが、同時に動脈硬化の原因となるプラークを増やす効果もあるようだ、という米国セントルイス・ワシントン大学からの研究報告。
研究チームは、マウスを用いて、高脂肪食を食べさせて動脈硬化を誘導する実験を行った。高脂肪食には、動脈プラークを発症させる効果があるが、今回チームは、その際たんぱく質を同時に食べさせた時の影響を調べた。
高脂肪食+高たんぱく質群と高脂肪食+低たんぱく質群を比較した。高たんぱく質群のたんぱく質量は推奨量の3倍(エネルギー比率46%)にしたという。
その結果、高たんぱく質食を食べたマウスは、低たんぱく質食を食べたマウスに比べて、アテローム性動脈硬化を発症するリスクが約30%高かったという。ただし、低たんぱく質群のマウスは体重が増加したが、高たんぱく質群のマウスは体重が増えなかった。
さらなる解析によって、研究チームは、高たんぱく質食からの過剰なアミノ酸がmTORと呼ばれるマクロフォージのたんぱく質を活性化することを発見したという。mTORからの信号は、プラークの有毒廃棄物を浄化する細胞の能力を遮断し、これによりマクロファージの死をもたらす一連のイベントが始まる。特定のアミノ酸、特にロイシンとアルギニンが、他のアミノ酸よりも、mTORを強力に活性化し、マクロファージを浄化作用から逸脱させ、細胞死に導くことを発見した。
「今後の研究では、アミノ酸含量の異なる高たんぱく質食がプラーク形成に及ぼす影響を検討したい」と主任研究者のババク・ラザニ准教授はコメントしている。
出典は『ネイチャー代謝』。 (論文要旨)
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