2020.1.23
, EurekAlert より:
世界中で食生活が複雑な過程を経て変化しているようだ、という英国ケント大学からの研究報告。
国際的な食糧供給パターンは、世界の一部ではより健康的な食事を供給しているが、別の部分では低体重と肥満の原因ともなっているようだ。また、環境のサステナビリティ(持続可能性)にも大きな影響をもっており、潜在的な懸念をもたらしている。
ジェームズ・ベンサム講師はインペリアルカレッジロンドンのマヒド・エザティ教授らと共に、1960年から2010年にかけて171カ国の食糧供給データを解析した。
解析の結果、研究チームは、過去50年の間に、韓国、中国、台湾が食糧供給において最大の変化を経験したことを発見した。肉、卵などの動物性食品、砂糖、野菜、魚介類、油料作物が以前よりかなり多く食べられるようになった。対照的に、多くの西洋諸国では、動物性食品と砂糖の供給は減少した。特に英語圏の豊かな国々(英国、米国、カナダ、豪州)で顕著であった。
研究チームはまた、世界中の多くの国で、野菜ベースの食事が増加したことを発見した。サブサハラアフリカ地域での変化が最も少なく、多様な食糧供給が欠けており、それがこの地域の栄養不良の一因になっていると思われた。
動物性食品と砂糖の多い食事が減るのと対応して野菜の利用可能性が高まったことは、世界のある部分ではバランスが取れ、より健康的な食品が増える方向に流通が変化したことを意味する。けれども、韓国、中国、台湾は特にそうだが、同じ時期に動物性食品と砂糖の利用可能性が高まったことで、劇的に肥満が増えた。同様に環境へのネガティブな影響も起きたことが示唆される。
ベンサム博士は言う。「グローバル食糧供給には明確なシフトが起きている。これは世界のある部分では栄養の強い改善をもたらした。けれども、肥満が長期的な懸念材料として残っている。我々は、本研究がグローバルな食事パターンの健康影響を分析するためのドアを開くものであることを希望している。同様に、我々は環境影響についても注意深く考える必要がある。」
出典は『ネイチャー食品』。 (論文要旨)
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