2020.1.8
, EurekAlert より:
北欧人の祖先はひとつだが、アジアには少なくとも10系統の祖先がいるようだ、という国際共同研究。『ネイチャー』誌に掲載さいれた。
これは、ゲノムアジア(GenomeAsia)100Kコンソーシアムがアジア全域を代表する1,739名(インド598、マレーシア156、韓国152、パキスタン113、モンゴル100、中国70、パプアニューギニア70、インドネシア68、フィリピン52、日本35、ロシア32)のゲノムを解析した結果である。
本研究は、64か国にまたがるもので、著者らによれば「初めての包括的なアジアの遺伝子地図である」という。それはアジア人に特有の疾病を研究する時のガイドにもなり、新薬開発時に特に副作用の強い民族を割り出すのにも役立つであろうという。
アジア人は、世界人口の40%以上を占めるにもかかわらず、これまで記録されたゲノム配列のわずか6%しか占めていなかった。
2016年に立ち上げられたゲノムアジア100Kの目標は、アジア人10万人の配列決定によって、アジア民族の遺伝的多様性を明らかにすることである。それは非営利のコンソーシアムであり、シンガポールの南洋理工大学が主催している。
ヒトのゲノムは32億の異なるヌクレオチドを持ち、それがDNAの遺伝子配列を形成しているが、任意の二人のゲノムを比較すると、99.9%が同じで、平均0.1%または300万個のヌクレオチドが異なっていると推定される。
この遺伝的多様性こそ、人類が地球上でもっとも多様な環境に定着し、疾病に対する回復力を持たせる役に立っているが、同時に多くに医薬品に対する異なる反応の原因ともなっているという。
「ある個人の祖先を知るには彼のゲノム全体の配列を決定することが必要だ。すべての人に有効な単一の医薬品は存在しないことを研究者は知っている。我々の発見はこれを強化するだけでなく、特定のグループが特定のくするによってどのように害を受けるかを示唆するものでもある」と南洋理工大学の金慧琳教授はコメントしている。
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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