2019.12.18
, EurekAlert より:
摂食障害に罹患した女性が妊娠した場合、妊娠中の母体と胎児に悪い影響を及ぼす可能性のあることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究で明らかになった。
例えば、摂食障害のある母親から産まれた子供は早産や小さな頭囲で生まれる(小頭症)リスクが高いことが示された。
今や世界中に何百万人もの摂食障害患者がいる。摂食障害は出産適齢期の女性に様々な影響を与えるが、これまでは小規模で限られた研究の中で、摂食障害の母親から生まれた子供の潜在的な合併症が検討されていた。
研究チームは、2003年から2014年の間にスウェーデンで出産した120万人の母親全員を対象とした包括的な研究が行なわれた。対象者の中には、2,800人近くの神経性無食欲症、1,400人の神経性大食症、3,400人の不特定の摂食障害患者が含まれていた。
解析の結果、摂食障害で、早産、小頭症、つわり、重度の吐き気と嘔吐など母親に悪影響を及ぼすリスクが高まることがわかったという。貧血のリスクに焦点を当てると、酷い神経性無食欲症を抱える、または不特定の摂食障害を持つ母親は、摂食障害のない母親に比べて2倍のリスクがあった。酷い神経性無食欲症は、分娩前出血のリスク増加とも関連していた。
妊娠合併症(高血圧・糖尿病など)のリスクも増大した。受胎時に、摂食障害の可能性があったにも拘らず1年以上摂食障害の治療を受けなかった女性は、摂食障害と診断されたことのない母親と比べて合併症のリスクが高かった。
「摂食障害の女性は、妊娠中の女性の中でもリスクの高いグループとして認識されるべきです。臨床的観点から、ケア提供者が現在も食事行動に何らかの障害がある、または過去に摂食障害だった女性を特定し、長期にわたる妊娠スクリーニングを検討するためのより良いルーチンを開発する必要があることを意味します」と責任研究者のエングラ・マンテル医師は述べている。
研究者らによると、栄養不足を伴う不適切な食事は、胎児の成長を制限する可能性がある。ストレスホルモンのコルチゾールは、神経性無食欲症と神経性大食症の女性で高くなる傾向があり、先行研究で小頭症との関連が指摘されている。母親のストレスといくつかの栄養不足は、以前から早産との関係が指摘されてきた。ビタミンとミネラルの欠乏は、胎盤の突然出血にも関連しており、妊娠中の出血のリスクの増加を説明できる。
つわりに関しては、研究者らは、不安やうつ病などの精神状態を調整すると摂食障害との関連が一部消失したことに気付いた。だが、年齢、喫煙、生年などの変数を調整した後も、他の結果にはほぼ変化がなかったという。
出典は『JAMA精神医学』。 (論文要旨)
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