2019.12.13
, EurekAlert より:
宇宙飛行中、宇宙飛行士はがん患者が化学療法、免疫療法、標的療法のような治療中に経験するのと類似の身体的ストレスを経験するという。11月14日付の『細胞』誌に掲載されたコメンタリーで、研究者らは、NASA宇宙飛行士の運動スケジュールが、がん患者にも役立ちそうだと指摘している。米国メモリアルスローンケッタリングがんセンターの報告。
「宇宙飛行中の宇宙飛行士とがん治療中のがん患者の間の類似性を発見したのは驚きだった。どちらも筋量の低下、骨の脱灰、心機能の変化がみられる」と主任研究者のジェシカ・スコット博士は語っている。脳機能にも類似性がみられるという。「宇宙飛行士は、宇宙霧と呼ばれる、集中力が低下し少し忘れやすくなる現象がみられる。それはがん患者が経験するケモブレインに非常に似ている。」
にもかかわらず、宇宙飛行士とがん患者は、ケアの方法について非常に異なるアドバイスを受ける。宇宙飛行士はミッションの前後を通じて運動が必要だが、がん患者は、治療の準備中と治療中には休息するように指導される可能性が高く、運動するときは医師の医師の許可を得る必要があるかもしれない。
けれども、研究チームは、トレッドミルの上を歩くなどの基本的運動が長期的にがん患者に利益をもたらす可能性があることを示唆している。医師は腫瘍を小さくすることに焦点を当てている一方で、NASAは宇宙飛行士が健康を維持することに焦点をあてている。NASAは最大11カ月間の宇宙飛行を安全に過ごせるようにする技術を備えている。がん患者が初期治療を生き延びても、宇宙飛行士に対するようなそのような努力はこれまでなかったという。
「だからこそ、NASAの戦術を活用して、がん治療のこうした長期的な副作用のいくつかを管理する方法について考え始めるのは非常にタイムリーだ」とスコット博士は述べている。「多くの患者はがんで死にかけているわけではないが、副作用で死ぬ危険にさらされている。NASAの運動計画を使用することでこれを支援できるだろう。」
現在、スコットらチームは、運動ががん患者の治療の副作用を相殺できるかどうかを調べている。患者に在宅トレッドミルとビデオ通話ソフトウェアを提供することにより、患者は快適な自宅にいながら、宇宙飛行士がミッションの前中後にする運動する研究に参加できる。
出典は『細胞』。 (論文要旨)
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