2019.12.11
, EurekAlert より:
有酸素運動は、心臓に健康的な食事があってもなくても、軽度認知障害の患者の思考、記憶、意思決定能力を改善するようだ、という米国デューク大学からの研究報告。
軽度認知障害は、記憶が不確かになりアルツハイマー病など認知症のリスクが高まった状態であるが、一部の専門家は、心疾患のリスク因子が認知症や認知機能低下のリスク因子でもあると考えている。
研究チームは、心疾患の発症を遅らせる健康的な生活習慣が軽度認知障害の高齢者の認知機能低下も遅らせるのではないかと考え、定期的な運動とDASH(高血圧を止める食事療法)の効果を検討した。
このENLIGHTEN(認知および心血管の健康増進のための運動と栄養介入)研究では、55歳以上の160人を対象とした。参加者は記憶障害、思考困難、意思決定ができないなどの認知障害があり、また高血圧、高コレステロール、糖尿病その他慢性疾患など、少なくとも1つの心疾患のリスク因子があった。
参加者は、1)有酸素運動のみ、2)DASH食のみ、3)有酸素運動とDASH食、4)標準的な健康教育(対照群)の4群にランダムに割り当てられた。
1)運動群は、6か月間週3回35分の中強度有酸素運動(ウォーキングかステーショナリーバイク)を始めの3か月は監視されながら、後半の3か月は自宅で監視なしで実施した。食事は通常の食事を続けた。 2)DASH食群は、3か月にわたって毎週のセッションでDASHガイドラインを満たす方法の指導を受け、続く3か月はそれを隔週で継続した。定期的な運動は介入終了までしないように要請された。 3)運動とDASH食群は、両方を6か月にわたって継続した。 4)対照群は、3か月にわたって毎週電話で健康教育を受け、続く3か月は隔週でそれを継続した。
介入の結果、運動群は参加者の思考、記憶、意思決定能力を改善した。また運動とDASH食群の参加者は、思考、記憶、意思決定能力を改善した。
研究チームは、本研究結果が、6か月にわたる運動介入が、少なくとも介入後1年にわたって思考、記憶、意思決定能力を改善することができる有望な証拠であると結論付け、さらなる研究の必要性を示唆している。
出典は『米国老人医学会雑誌』。 (論文要旨)
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