2019.12.11
, EurekAlert より:
喫煙者と高血圧患者は、クモ膜下出血による突然死のリスクが高いようだ、というフィンランド・ヘルシンキ大学からの報告。
クモ膜下出血は、脳動脈瘤の破裂によって引き起こされる重度の脳卒中の一種である。
クモ膜下出血患者の4人に1人は、自宅、病院へ搬送中、または救命救急室で出血後すみやかに死に至る。これらの患者は病棟に到着することはなく、しばしば誤って診断される。多くの国では、北欧諸国のように検死を行う習慣がないため、これらの突然死は心臓突然死に分類されるのである。
初期の出血後、病院に到達した患者がクモ膜下出血と診断されず、病気のメカニズム解明の研究に活かされないこともあり、クモ膜下出血の研究には偏りがあると考えられる、と研究者らは言う。
病棟に到着する前に死亡した患者を除外した最近の2つの病院ベースの研究で、喫煙者と高血圧患者が、非喫煙者と正常血圧の患者よりもクモ膜下出血から生存する可能性が高いと報告されている。
この発見は、以前の報告と矛盾するため、研究者と臨床医を困惑させた。何十年もの間、研究者と臨床医は、喫煙と高血圧がクモ膜下出血の2つの最も重要な危険因子であると考えていたのに、これらの研究では、同じ要因がクモ膜下出血関連の死から逆説的に保護することが示唆されたからである。
今回のフィンランドの研究は、病棟に到着する前に死亡した人々を研究に含めることで、喫煙と高血圧の逆説的な結果が間違いであることを示している。具体的には、この研究は、喫煙者と高血圧の人が、非喫煙者と血圧が正常な人よりも病棟に到着する前により頻繁に死亡することを示した。これらのヘビースモーカーと高血圧の人々が統計分析から除外されていた為、結果が誤ったのだという。
「フィンランドでのすべての突然死に対する必須の検死により、病棟に到着する前に死亡した個人に関するデータを特定して含めることができました。これにより、クモ膜下出血で助かった人々だけでなく、すべてのクモ膜下出欠症例を含めれば結果がどのように変化するかを示すことができました」と筆頭研究者のヨニ・リンドボーフム医師は語っている。
「実際問題、出血後すぐに死亡した人を除外した研究結果からは、クモ膜下出血の危険因子と生存推定値は信頼できないことを私たちの研究は示しています。これは、ほとんどのクモ膜下出血研究がまだ病院ベースであり、ほとんどの突然死を含んでいないために、重要な認識だと考えられます」と脳神経外科医で主任研究者のミッカ・コリア博士は述べている。
研究チームによると、クモ膜下出血による突然死のリスクを最小限に抑える方法は、喫煙をやめて血圧を下げることである。
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研究チームは、152万人年の間に65,521人の人口ベースのFINRISK参加者を追跡し、1974年から2014年の間に発生した445人の入院動脈瘤性クモ膜下出血患者と98人の突然死動脈瘤性クモ膜下出血患者を特定した(FINRISK /フィンランド保健福祉研究所)
出典は『神経学』。 (論文要旨)
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