2019.12.5
, EurekAlert より:
良く歯磨きする人は、心臓病のリスクが低い傾向があるようだ、という韓国・梨花女子大学医学部からの研究報告。
以前から、口腔衛生の悪さが血液中の細菌につながり、体内に炎症を引き起こすことが示唆されていた。炎症は、心房細動と心不全のリスクを高める。本研究では、口腔衛生とこれら疾患の発生との関係を調べた結果、歯磨きを頻繁に行なう習慣のある人は心房細動および心不全のリスク低下とリンクしていることがわかったという。
この後ろ向きコホート研究には、心房細動または心不全の病歴のない40-79歳の韓国国民健康保険制度の参加者161,286人が登録された。参加者は、2003年から2004年の間に定期健康診断を受けた。身長、体重、臨床検査、既往歴、生活習慣、口腔衛生、口腔衛生行動に関する情報が収集された。
10.5年(中央値)の追跡期間中に、4,911人(3.0%)の参加者が心房細動を発症し、7,971人(4.9%)が心不全を発症した。
解析の結果、1日3回以上の歯磨きは、心房細動リスクの10%低下と関連し、心不全リスクの12%低下と関連した。この関連は、年齢、性別、社会経済的状態、定期的な運動、アルコール消費、肥満度指数、および高血圧などの併存疾患とは独立していた。
この研究ではメカニズムを調査していないが、1つの可能性として、頻繁な歯磨きが歯肉下バイオフィルム(歯と歯肉の間のポケットに存在する細菌)の細菌を減らし、それによって血流への移動を防ぐことがあげられるという。
韓国ソウルにある梨花女子大学のテジン・ソン博士は、本分析が1つの国に限定されており、観察研究は堅牢な因果関係を証明できない点を指摘している。しかし、彼は「私たちは長期間にわたって大規模な集団を研究しており、それが知見の信頼性を高めている」と追記している。
出典は『欧州予防的心臓病学雑誌』。 (論文要旨)
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