2019.12.5
, EurekAlert より:
胎児にも腸内細菌が存在することが確認された。この発見は、早産が危惧される場合に胎児の腸内細菌を活性化して成長を促進したり、生後早期の感染リスクに備えるなどの方法への道を開くかもしれない。米アン&ロバートH.ルーリー小児病院の研究。
免疫系と代謝に重要な役割を果たす、腸内細菌が胎児にも存在することが、ヒトとマウスの研究から明らかになった。また、胎児の腸内細菌叢が母親由来であることも確認された。これらの発見は、妊娠中の潜在的な介入への扉を開き、早産が危惧される場合に胎児の腸内細菌叢を刺激して胎児の成長を促進し、初期の生命感染リスクに備えるなどのことができるようになるかもしれないという。
「私たちの研究は、複雑な腸内細菌叢が母親から胎児に伝わるという強力な証拠を提供します」と、主任研究責任者であるパトリック・シード博士は話す。「次世代のDNAシーケンスのみに依存する他の研究とは異なり、胎児の腸内細菌叢の存在に関する数十年にわたる論争を解決するために、顕微鏡と培養技術を使用してシーケンス結果を検証しました。現在、胎児の免疫システムや代謝の発達促進を、母親の腸内細菌叢を活性化することにより追求することができます。将来の病気をもっと早い段階で予防することが期待されます」
ヒトの腸内細菌叢は、1兆個を超える細菌で構成され、ており、その数はすべてのヒト細胞の10倍に及ぶと推定されている。研究により、特定の腸内細菌叢の特性が肥満、アレルギー、喘息、糖尿病、自己免疫疾患、うつ病、および様々ながんとの因果関係が明らかになっている。人生の初めとそれ以降に子供たちの健康を改善するためには、どのような介入ができるかについて、さらに研究が必要だ、とシード博士は述べている。
出典は『JCIインサイト』。 (論文要旨)
|