2019.12.4
, EurekAlert より:
女性は糖尿病の血管合併症の影響を受け易く、今後数十年で状況が悪化する可能性が高い、というオランダのアムステルダム大学医療センターからの概要報告。
心血管疾患は糖尿病患者では通常より15年早く起こり、それが罹患率と死亡率上昇の主な原因である。女性では、糖尿病と心血管疾患の関連が特に顕著であるという。
世界的に、女性の方が男性よりも糖尿病による死亡が多い(年間210万対180万)-この過剰リスクは、主に女性の心血管系死亡リスクが高いためである。
冠状動脈性心疾患は、最も頻繁に報告される心血管疾患の形態であり、最も致命的なものである。糖尿病の女性は、糖尿病のない女性と比較して、冠状動脈性心臓病による死亡のリスクが1.81倍高まる。男性の場合は1.48倍に留まる。
最終的に足の切断につながる可能性のある末梢動脈疾患は、2型糖尿病患者における心血管疾患の最も一般的な初期症状である。その有病率は、男性と比較して女性で1.8倍高い。
心不全は、2型糖尿病における心血管疾患の2番目に多く見られる初期症状である。糖尿病の女性は、糖尿病のない女性よりも心不全になる可能性が5倍高くなる。男性の場合は2倍に留まる。
これらの女性と男性の違いを説明する研究が進行中である。心不全のリスクが高くなる理由として考えられるのは、女性では一般的に特定の形態がより一般的であり、それが糖尿病患者に最も影響を与える可能性があるタイプだということだ。この形態は、駆出率が維持された心不全と呼ばれ、心臓はポンプ機能を維持するが、硬直しているため収縮後の弛緩が損なわれる。
女性も男性も、健康的な生活習慣は糖尿病を予防するための基礎である。ひとたび糖尿病になったら、心血管合併症を止めることが基本になる。
主任研究者のジョリーネ・ベウレンス教授は、次のように述べている。「私たちの社会における肥満レベルの増加に伴い、糖尿病の有病率が大幅に上昇しています。2型糖尿病は生活習慣病であることがわかっています。より良い行動で進行を止めることができます。」
「ライフスタイル管理は、糖尿病患者の治療の最前線です」と教授は続ける。「ライフスタイルが血糖値と合併症のリスクを十分に制御できない場合、治療の2番目のラインとして血糖降下治療を開始する必要があります。」
ESC糖尿病ガイドラインは、糖尿病および糖尿病予備軍の患者に以下のことを勧めている。
●喫煙をやめる。 ●過剰な体重を減らすためにカロリー摂取量を減らす。 ●アルコールを避ける。 ●重度の併存疾患や余命が限られている患者など、禁忌でない限り、糖尿病を予防/制御するために、週に少なくとも150分の中程度から激しい身体活動(有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせ)を行う。
教授は、「糖尿病患者は、糖尿病のない人と比較して心血管リスクが著しく高いままです。壊滅的な心血管合併症を防ぐために、糖尿病をより適切に識別、監視、制御する必要があります」とコメントしている。
出典は『欧州予防的心臓病学雑誌』。 (論文要旨)
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