2019.12.2
, EurekAlert より:
メタボリックシンドロームは予防が第一であることはいうまでもないが、一度なってしまっても努力して治せば、心血管疾患リスクは半分近く減らせることが明らかに。韓国ソウル大学が行った全国規模の調査結果から。
メタボリックシンドローム(ウエスト周囲径が基準値以上で、かつ血圧・血糖・血中脂質の3つのうち2つ以上が基準値以上)は、心血管疾患のリスク増加と関連していることが知られているが、努力してこの状態を脱すると、リスクはどの程度減少するのだろうか?
これまで、メタボリックシンドロームの状態の動的な変化と心血管疾患のリスクの変化との間に関連があるかどうかを示す、人口規模の証拠は存在しなかった。
ソウル大学医学部の研究者らは、国民健康保険データベースのデータを分析して、メタボリックシンドロームからの回復またはメタボリックシンドロームの発症が心血管疾患のリスクの変化との関連について、全国的調査を行った。
対象としたのは、2009年から2014年までに国民健康診断を受けた955万人以上。研究参加者はそれぞれ、一般的な健康診断を計3回受けた結果から、メタボリックシンドロームの状態に応じて4つのグループに分けられた。
1)メタボリックシンドロームが継続していた人 2)新たにメタボリックシンドロームとなった人 3)メタボリックシンドロームを脱した人 4)メタボリックシンドロームにならなかった人
研究者らは、これら4つのグループ間で心血管疾患または脳卒中を発症するリスクを比較し、メタボリックシンドロームを脱した人は、メタボリックシンドローム状態のままの人と比較して心血管疾患のリスクが低いことを発見した。
具体的には、心血管疾患の発症率はメタボリックシンドロームを脱したグループで4.55/1000人・年、継続していたグループで8.52/1000人・年だった。なお、メタボリックシンドロームを新たに発症したグループは6.05/1000人・年、メタボリックシンドロームにならなかったグループでは1.92/1000人・年であり、ここでも大きな差がみられた。
著者によると、これらの知見は、メタボリックシンドロームの発症を予防または回復しようとする努力が、心血管疾患のリスクを減らすことを示唆しているとのことだ。
出典は『内科学年報』。 (論文要旨)
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