2019.11.28
, EurekAlert より:
閉経後の女性においては、ウォーキングや家事などの軽いものでも身体活動の習慣があり、座位時間が少ないほど股関節骨折と総骨折のリスクが低下することが明らかになった。米国ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究。ただし、膝骨折のリスクは逆に高まったという。
今回の研究は、高齢女性の身体活動習慣と骨折の発生率との関連を最も包括的に評価したものだという。この研究は『女性健康イニシアチブ』に参加した女性77,000人以上を対象とし、14年間に渡って追跡調査が行われた。なお、追跡期間中に1回以上骨折した人は33%に及んだ。
身体活動と骨折リスクとの関係を分析したところ、身体活動量が最も多かった(毎日35分以上の余暇活動および家事活動)女性は股関節骨折リスクが18%低下、総骨折のリスクも6%の低下が見られた。本研究はガイドラインが推奨する身体活動レベルよりも低いレベルであったとしても、継続して行なうことで健康上の利点があるとした、過去数年の同大学による一連の『女性健康イニシアチブ』研究報告のひとつである。
「これらの調査結果は、骨折の減少が高齢女性の定期的な身体活動のもたらす多くのポジティブな特性のひとつであるという証拠を提供しています」と、共同研究者であり同大学の健康衛生学部学部長であるジーン・ワクタウスキ=ウェンデ博士はコメントしている。
骨折は閉経後の女性に非常によくみられ、自立性の損失、身体的制限、死亡率の増加と関連している。また米国の女性では骨折部位の14%は股関節であり、股関節骨折後の死亡率は20%に達する。今回の研究では、歩行可能な高齢女性は、総身体活動量が多いほど、また座位時間が少ないほど総骨折および股関節骨折のリスクは低くなることが明らかになったが、一方で膝骨折のリスクは高くなるなど、部位別にみるとリスクが異なることが分かった。また低強度の身体活動は中〜高強度運動や座位時間とは関係なく、股関節骨折や総リスクの低下と関連していた。
「ウォーキングなどの軽い身体活動は、骨折リスクを大幅に低下させる可能性があり、ひいては死亡リスクを低下させてくれる可能性があります」とウェンデ博士は言う。庭仕事や床そうじ、洗濯物をたたむなどの家事も骨折リスクを低下させることがわかったという。高齢者では、これらの低強度の身体活動が一般的であることを考えると、重要な意味を持ってくる。筆頭著者のラモンド助教授は主要なメッセージとして「座るのを少なくして、たくさん動いてください。どんな動作も大切です」としている。
出典は『JAMAネットワークオープン』。 (論文要旨)
|