2019.11.26
, EurekAlert より:
食事に関する臨床試験のほとんどは、最良の学術誌に発表されたものであっても、大部分の薬物に関する臨床試験にある厳密さが欠けているようだ、という米国ボストン小児病院からの研究報告。それらはしばしば小規模で期間が短く、対象者の食事の順守を厳密にコントロールすることができないという。
それだけではなく、『JAMAネットワークオープン』誌に発表された本研究によれば、食事臨床試験の86%が、望んでいたアウトカムの修正をしているという。それはバイアスが入り込む可能性を高める、と主任研究者のデビッド・ルードビヒ博士は語っている。
「食事とそれを摂取するヒトの行動は極めて複雑なので、高品質の試験を実施するのが困難である」と博士らは、同時に発表されたニューヨークタイムズ紙の論説に述べている。しかし、莫大な利益を上げる食品企業はわずかしかないため、「典型的な食事試験は、乏しい予算で実施されなければならず、数十万ドルを超えることは稀である。対する薬物試験は、数億ドルをかけるのがふつうである。」
今回研究チームは、2009年から2019年に5大医学誌(『ニューイングランド医学雑誌』『米国医学会誌(JAMA)』『英国医学会誌(BMJ)』『ランセット』『内科学年報』)と『米国臨床栄養学雑誌』に掲載された肥満に関する臨床試験の文献検索を実施して、343件の食事試験と、148件の薬物試験を抽出した。
全ての臨床試験は、試験実施者があらかじめ試験の予定に責任をもち、調査結果を選択的に報告しないようするために、ClinicalTrials.govにあらかじめ登録された。けれども、研究チームが、レジストリの登録内容と最後に公開された論文と比較したところ、18件の食事試験(86%)と2つの薬物試験(22%)には実質的な不一致がみられた。
典型的な例としては、主要アウトカムと共主要アウトカム(co-primary outcomes)の時間枠が変更されるものが挙げられる。ある食事試験では、当初5年後の体重を主要アウトカムとしてリストアップしていたが、後に1年後の体脂肪の変化に変更された。別の試験では、当初複数の時点での複数のアウトカムを計画していたが、後に出版された研究では、単一時点での単一アウトカムに変更されていた。
出典は『JAMAネットワークオープン』。 (論文要旨)
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