2019.11.21
, EurekAlert より: 
平日は節制している分、週末はジュースやスイーツをたっぷり摂ってもOK!という考えは甘いようだ。たとえ短期的にでも、砂糖の摂り過ぎは炎症性腸疾患のリスクを増加させ、健康に大きな影響を与える可能性があることが示唆された。カナダ・アルバータ大学の動物実験から。
この研究では、バランスの取れた食事を食べ続けているマウスと、2日間だけ砂糖を多く含む食事を与えたマウスを比較した。両方のマウスに薬剤を使って大腸炎を誘発させたところ、高砂糖食群のマウスは大腸炎に対する感受性が高まってしまい、症状がより重篤になることを発見した。
食事による炎症性腸疾患への影響に関する専門家であり、この研究を率いたマドセン氏によると、今回の結果は長い間多くの大腸炎患者たちが話してきた「食事を少し変えると症状が激しくなることがある」ということを反映しているという。
「これまでにも、食事のタイプによっては病気にかかりやすくなることが示されています」と、マドセン氏。「食事を変えてから健康に影響を与えるまでにはどのくらいの時間がかかるのかを知りたかったのです。砂糖と大腸炎の場合、それはたった2日でした。これには本当に驚きました。そんなに早いとは思っていなかったのです」
これほどの短期間で何がこのように大きな変化を引き起こすのだろうか?腸内細菌と食べ物による影響がすべてである。
食物繊維が豊富な食物は、腸内に住み、効率的な免疫応答に不可欠な短鎖脂肪酸を生産する「善玉菌」の燃料として機能する。砂糖の多い食事を摂り、食物繊維の摂取量を減らすと、炎症や免疫反応の欠陥に関連する大腸菌などの「悪玉菌」に餌をやることになってしまう。
マドセン氏の研究では、高砂糖食を摂取したマウスは腸組織の損傷が大きく、免疫反応に欠陥があることが示された。これらの問題は、善玉菌が通常生成する短鎖脂肪酸を食事に添加すると軽減されたという。
「驚くべきことに、私たちの研究は、短期間の砂糖摂取が実際に有害な影響を与える可能性があることを示しています。そのため『1週間ずっと良い食生活を送っていれば、週末にジャンクフード漬けになっても大丈夫』という考えはよろしくないということです」とマドセン氏は説明している。
今後、サプリメントとして短鎖脂肪酸を利用する道が開かれるかもしれないという。人間は好きなものを食べたいので、短鎖脂肪酸をサプリメントとして使用することで、炎症性腸疾患に対する砂糖の有害な影響を軽減することが期待されるとのことだ。
また今回の研究では、高砂糖食をわずか2日間摂取し短鎖脂肪酸が欠乏したことで腸の透過性の上昇を引き起こし、食事が消化管の細菌と脳にどのように影響するかについての興味深い研究の道を開いたことが示された。
「腸内細菌とアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患には関連があることを示唆する証拠が増えています。私たちの研究は、高砂糖食のマウスで腸透過性が劇的に増加したことを示しました。これは、細菌の産生した物質が、通常存在している腸から体の他の部分に自由に移動してしまうことを意味します。それは、この現象がこれらの病気を引き起こしている可能性を高めていますが、検討の必要があります」
出典は『サイエンティフィックレポート』。 (論文要旨)
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