2019.11.11
, EurekAlert より:
高齢者の健康をより長期に保つための新たな医療の枠組みを提示する英国リバプール大学などによる声明が『サイエンス』誌に発表された。
本声明は、行政府、WHO、科学者および医学者共同体への「行動喚起」であり、力を合わせて加齢関連疾患の診断と治療のための基盤となるフレームワークを利用して、分類振り分けシステムを開発しようというものである。
充分な診断基準と重症度段階付けシステムを持たない加齢関連疾患は、予防と治療の能力が限られ、新薬と介入の開発能力も限られる。究極には、これは加齢に伴う共同体メンバーのQOLに影響を及ぼすことになる。
高齢者集団は、慢性疾患と多併存疾患状態に関連した緊急かつ満たされていない医療及び経済的要求があり、それは国及び世界レベルで解決されねばならない課題である。
現代社会は、歴史上初めて、大部分の人の寿命が60代を超えた時代である。2020年には60歳以上の人口が5歳未満の人口よりも多くなり、2050年には、60歳以上の人口は20億人に達する。
高齢者には、首・背中の痛み、変形性関節症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、サルコペニア、認知症などの症状が一般的にみられる。加えて、加齢に伴って複数の疾患を同時にもつようになる。それは長い時間をかけて積み上げられていくものだ。そのために、広い年齢層の高齢者に効果的な診断と治療法の開発が求められるようになっている。
現在の加齢関連疾患の分類と重症度段階分けには限界があるという。それは一貫性がなく、不完全であり、システマチックでもない。ある種の疾患は複数の臓器で発見されたり、臓器委縮・不全につながるが、分類はあるひとつの臓器に限られるといったことがあるという。
この問題に対処するためにリバプール大学が主導する専門家の国際グループは、ポジションステートメント(意見表明)を発表し、加齢関連疾患の分類と重症度段階分けのフレームワークを明らかにした。重要なことは、このステートメントには、組織・臓器レベルでの加齢と臓器委縮、そして関連関連の全身性および代謝的疾患の病態的リモデリングと分類が含まれるということである。
主任研究者のスチュアート・カリンポート博士は、「このフレームワークは薬物や介入法の開発の助けになるものであり、これまでにないベネフィットがあるだろう」と述べている。
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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