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[高齢者]  人間の寿命における神経活動の役割を初めて特定
2019.10.31 , EurekAlert より:   記事の難易度 3
  

脳神経細胞の活性が、ヒトの加齢と寿命に重要な役割を果たしているかもしれない、という米国ハーバード大学からの研究報告が『ネイチャー』誌に発表された。

脳の過剰な活性が寿命の短縮に関連し、過活性を抑制することで寿命が延びる可能性が示唆されたという。この知見は、ヒトにおける脳の活性が寿命に関連することに関する初めてのエビデンスであるという。以前の研究では、神経系の一部が動物の加齢に影響を及ぼすことが示唆されていたが、特にヒトの加齢における神経活動の役割は依然として不透明であった。

「我々の発見の興味深いところは、神経の過活動のような一過性のものが寿命に大きな影響を及ぼす可能性があるということだ」と主任研究者のブルース・ヤンクナー教授は語っている。

神経の興奮は、寿命に影響することが知られている分子レベルのイベント連鎖、つまりインスリンとインスリン様成長因子(IGF)信号伝達経路に沿って作用するようだ。

この信号伝達カスケードの鍵は、老化した脳を認知症やその他のストレスから保護するために研究者らによって以前に示されたRESTと呼ばれるたんぱく質だという。

神経活動とは、脳内における電流の間欠的な伝達である。過剰な活性(興奮)は、筋肉のけいれんや気分の変化など様々な形で現れる。

ただし、人間の高次の精神活動が寿命にどのような影響を及ぼすかはまだわからないという。だが、本研究は、アルツハイマー病や双極性障害のような神経過活性を伴う病気の治療に役立つ可能性があるという。

研究チームが、60-100歳以上でなくなった数百人の人々の脳組織における遺伝子発現パターンを分析した結果、85歳上の長寿だった人では、60-80歳で死亡した人に比べて、神経過活性に関する遺伝子の発現が低いことが明らかになった。

線虫、遺伝子改変マウス、百寿者の追加の脳組織分析などを行った結果、神経の過活性は寿命に影響することが明らかになった。全ての兆候はRESTたんぱく質に関連していたという。

研究チームは、遺伝子を制御するRESTが、神経の過活性を抑制することを発見した。

動物モデルでRESTあるいはその同等物を阻害すると、神経活動が活発になり死亡が早まった。RESTの活性を高めると寿命は延長した。百寿者は有意にREST活性が高かったという。

線虫から哺乳類まで、RESTはイオンチャネル、神経伝達物質受容体、シナプス構成成分など、神経過活性に中心的に関与する遺伝子の発現を抑制することがわかった。

神経興奮が低くなると、フォークヘッド転写因子として知られるたんぱく質ファミリーが活性化される。これらのたんぱく質は、インスリン/IGF信号経路を介して長寿経路を媒介する。それはカロリー制限で活性化されるのと同じ経路である。

高齢者の大規模な研究コホートがなければ、本研究は不可能だったと、研究チームは強調している。

出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)      
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