2019.10.23
, EurekAlert より:
ヒト母乳中に、有害な細菌の感染と戦い有益な細菌は繁殖させる有効成分を発見した、という米国ナショナルジューイッシュヘルスとアイオワ大学の研究報告。
その化合物モノラウリン酸グリセロール(GML)は、ヒトの母乳に牛乳の200倍以上含まれる。粉ミルクには入っていない。GMLは安く製造できるので、将来的には、牛乳や粉ミルクに添加されるようになるかもしれないという。
「我々の研究は、ヒト母乳中に高濃度のGMLが含まれ、病原細菌の増殖を強く阻害することを実証した」と主任研究者のドナルド・ロング教授は語っている。
「抗生物質は乳児の細菌感染と戦うことができるが、有用な細菌も殺してしまう」と筆頭研究者のパトリック・シュリベルト教授は語っている。「GMLはもっとずっと選択的であり、病原細菌とだけ戦い、有用な細菌は繁殖させる。我々はGMLに牛乳と粉ミルクの有力な添加物質としての可能性が約束されていると思う。」
研究チームは、ヒト母乳が、病原細菌のStaphylococcus aureus、 Bacillus subtilis、 Clostridium perfringensの増殖を阻害することを示した。牛乳や粉ミルクには阻害効果はみられなかった。またヒト母乳は、有益な細菌Enterococcus faecilisの増殖を阻害しなかった。
ヒト母乳からGMLを除去すると、S. aureusに対する抗菌活性は失われた。牛乳にGMLを添加すると、抗菌活性を示した。
研究チームはまた、GMLが上皮細胞の炎症を阻害することも示した。
出典は『サイエンティフィックレポート』。 (論文要旨)
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