2019.10.17
, EurekAlert より:
最低1日1回お知らせがスマートフォンに届くだけでも、身体活動を促進することが可能なようだ、という米国スタンフォード大学からの研究報告。
今回の知見は、世界初のすべてがデジタル化されたランダム化臨床試験によるものであり、2つの疑問に答えるものだという。ひとつは、フルデジタルランダム化臨床試験は可能なのか? もうひとつは、スマホのアプリでより多く運動させることは可能なのかということである。
ユアン・アシュリー教授ら研究チームは、MyHeart Countsという彼ら自身が開発したアプリを用いた臨床試験を実施した。それは2015年に公開され、身体活動やその他心臓関連情報(心拍数など)を記録するのに便利であった。現在、それはフルオンランダム化臨床試験の主要ツールとして、対象者採用、同意、介入のすべてを含んでいる。データを対象者に返す機能もある。
「このデジタル時代に、我々は人々を健康にする方法を考える必要がある」と教授は言う。「現在スマホユーザの数は膨大である。人々がスマホ中毒であるというなら、我々は彼らを健康中毒にすることもできるだろう。」
MyHeart Countsに参加した人は、週替わりで4つの単純な介入(歩きましょう、立ち上がりましょう等)のうちの1つを処方された。介入の種類に関わらず、参加者の開始前と惹かうして約10%身体活動量が上昇したという。
研究チームは、MyHeart Counts公開1年後に臨床試験を開始し、2016年12月から2018年6月までの18か月間で2,783名の参加者が、試験への参加に同意した。最初の7日間の対照期間とその後の最初の介入の少なくとも1つを完了したのは1,075名、全試験を完了したのは493名だった。
80%の脱落率は臨床試験の失敗を意味するかもしれないが、今回のこれは違う。「デジタルの世界では、参加の敷居が低く、人はコーヒーの列に並んでいる間でもサインアップすることができる。それゆえ、止めるときの敷居も低いのである」とアシュリー教授は言う。「参加者100人は大規模とはいえないかもしれないが臨床試験で普通にみられる規模である。MyHeart Countsではその5倍の人数が完了したのである。」
参加者は最初の1週間は介入なしにそのままの生活を継続して対照期間とした。その後1週間単位でランダムに、4つの「ソフトタッチ」のひとつに割り当てられた。(1)もっと歩くことを推奨する、(2)1時間ごとに立ち上がりましょうとリマインドする、(3)米国心臓協会の健康ガイドラインを読むよう指示する、(4)個別化「e-コーチ」が彼らの日常のアクティビティに合わせて毎日メッセージを届ける。座位の多い人には日曜の朝に歩くように、普段から活動的な人にはそれを継続するように。
その結果、活動量の増加はわずかだった(約10%)が、統計的に有意であった。
アシュリー教授によれば、重要なポイントは、毎日の終わりに介入による実際の小さなプラス効果がみられたことだという。
出典は『ランセットデジタルヘルス』。 (論文要旨)
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