2019.9.27
, EurekAlert より:
325,000人以上を対象とした包括的研究で、腹部深部脂肪が糖尿病と心血管疾患の発症の主要な寄与因子であることが示された、というスウェーデン・ウプサラ大学からの研究報告。『ネイチャー医学』誌に発表された。
研究ではまた、腹部深部脂肪は男性よりも女性においてより大きいリスク因子であることも示されたという。研究チームは、我々の遺伝子が脂質の蓄積にどのように影響するかを検討し、新たに単純な腹部深部脂肪量の水的法を開発した。
内臓の周囲に貯蔵される腹部脂肪は、糖尿病と心血管疾患のリスクを高める因子として知られている。本研究で、研究チームはさらに一歩進めて遺伝子データを使用し、腹部脂肪と糖尿病、心筋梗塞、高血圧、高脂血症の真の因果関係を示したという。
研究チームは、より簡単に腹部脂肪量を推定する方法を開発した。この方法は研究目的で有用なだけでなく、ヘルスケアにおいても有用であるという。
「腹部脂肪量を測定するためには先進的かつ高価な画像診断装置が必要だ。我々が開発したシンプルな方法は、腹部深部脂肪量を他のパラメータから推定するものであり、より簡便に腹部脂肪自体を測定できる。この方法は多くのクリニックにおいても使うことができる」と筆頭研究者のトルグニー・カールソン博士は語っている。
「我々は腹部脂肪と疾患リスクとの関係が男性よりも女性で強力にリンクしていることに驚いた」と共同研究者のアーサ・ヨハンソン准教授は語っている。「腹部脂肪が1kg増えると女性では2型糖尿病リスクが7倍高まる。男性では2倍と少しに過ぎない。」
研究チームはまた、腹部深部脂肪の量が少ないか中程度の人々において疾病リスクが最も急速に上昇することを発見した。
「このような非線形の効果は極めて興味深い。腹部脂肪と疾患の関係の背後にある生物学への理解を手助けするものだ」とカールソン博士は言う。
研究チームはまた、ゲノム中の数百万の位置から腹部脂肪の量に影響を及ぼす遺伝子を同定した。その数は200以上に及んだ。それらの中で、大きな部分が我々の行動に関連するものであり、これは、我々の腹部肥満の主要な寄与者は結局食べ過ぎと運動不足によるものであることを示唆している。けれども、脂肪の体内分の仕方は個人によって異なっており、太り過ぎには見えない人でも有害な量の腹部脂肪を蓄積していることがあるという。
「本研究の知見は、我々に簡単な腹部脂肪の測定法をもたらし、糖尿病や心血管疾患のリスクの高い者の同定を容易にするだろう」とカールソン博士は語っている。
出典は『ネイチャー医学』。 (論文要旨)
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