2019.9.12
, EurekAlert より:
4週間の隔日断食で平均3.5kgの減量が可能であった、というオーストリア・グラーツ大学からの研究報告。
カロリー制限、間欠断食、隔日断食(ADF)など様々な種類のダイエットの生物学的効果が動物モデルやヒト臨床試験で検討されることが増えてきた。
健康なヒトを対象に厳密な隔日断食の効果が検討された。36時間の断食と12時間の食べ放題を繰り返すものである。
「厳密なADFは、最も極端な食事介入であり、ランダム化臨床試験として充分に検討されてきたとはいえなかった」と主任研究者のフランク・マデオ教授は語っている。「この研究で、我々は広範囲のパラメータを、生理学的なものから分子的なものまで確定しようとした。もしADFとそれ以外の断食が種々のレベルで異なるものならば、その比較には複雑な研究が必要になるだろう。」
研究チームは、60名の参加者をランダムに、ADF群と自由摂食(対照)群に振り分け、4週間にわたる介入を実施した。どちらの参加者も普通体重かつ健康であった。ADF群は断食期間中は、一切のカロリーを摂らなかった。血糖値が連続的にモニターされた。また断食期間中は日記を付けるように要請された。参加者は定期的に研究機関を訪問し、ADFまたは自由摂食についてのインストラクションを受けたが、それ以外は自由に日常生活を送った。
追加的に、研究チームは、既に6か月以上厳密なADFを実施した30名の参加者を、断食を経験していない健康な対照者と比較した。これは長期の安全性を検証するためだった。
「我々は平均して、12時間の通常摂食時に、ADF群の参加者は断食期間中に摂るはずだったカロリーの(すべてではなく)幾分かを補うことを発見した」と共同研究者のハラルド・スリジュ教授は語っている。「全体として、彼らの平均カロリー制限は約35%であり、体重は4週間で平均3.5kg低下した。」
ADF群ではいくつかの生物学的効果が発見された。 ●参加者は、アミノ酸、特にメチオニンの、ダウンレギュレーションを変化させた。アミノ酸制限は、げっ歯類で寿命を延長することが先行研究で示されている。 ●参加者は、ケトン体のアップレギュレーションが持続した。それは非断食日でもみられた。これは種々の文脈において健康を促進することが示されている。 ●参加者は、slCAM-1レベルを低下させた。これは加齢関連疾患・炎症に関連するマーカーである。 ●参加者は、甲状腺機能障害なしにトリヨードサイロニンのレベルを低下させた。先行研究で、このホルモンの低下はヒトの寿命に関連することが示されている。 ●参加者は、コレステロールのレベルを低下させた。 ●参加者は、内臓脂肪を低下させた。
「厳密なADFのエレガントなところは、参加者が食事やカロリーについて計算する必要がないところである。彼らは単に1日何も食べないだけだからだ」と共同研究者のトーマス・ピーバー教授は語っている。
出典は『細胞代謝作用』。 (論文要旨)
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