2019.9.10
, EurekAlert より:
ラトガー大学などの研究チームは、いかにして褐色脂肪細胞が肥満や糖尿病を予防する助けになるか発見したと『ネイチャー』誌に発表した。
褐色脂肪は熱産生器官と考えられている。ヒトでは首、鎖骨、腎臓、脊髄の周囲に数グラム存在する。低温で活性化されると、褐色脂肪は血中の糖と脂質を使って熱産生を行う。
本研究は、褐色脂肪が血中の分岐鎖アミノ酸(BCAA)を分別して除去する助けになることを発見したという。BCAA(ロイシン、イソロイシン、バリン)は、タマゴ、肉、魚、鶏肉、牛乳などに含まれるが、運動系のサプリメントとしても売られている。
通常の血中濃度では、BCAAは健康維持に必要だが、過剰にあると糖尿病や肥満に関連する。研究チームは、褐色脂肪がない人々のBCAA除去能力が低く、それが肥満や糖尿病の発症につながることを発見した。
研究チームはまた、20年来の謎だったBCAAがどのようにミトコンドリアに入り細胞のエネルギーと熱産生を起こすかを明らかにした。新奇なたんぱく質(SLC25A44)が褐色脂肪がこのアミノ酸の血中からの除去速度をコントロールして、それを使ってエネルギーと熱を産生するのである。
「我々の研究は、BCAAサプリが健康な人では褐色脂肪を活性化して有効性を発揮するが、高齢者、肥満、糖尿病患者などではそうでない場合があるというバラドックスを説明するものだ」と共同研究者のラブロス・シドシス教授は語っている。
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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