2019.9.6
, EurekAlert より:
物語は弱い事実の説得力を高めるが、強い事実の説得力を弱める可能性がある、という米国ノースウェスタン大学からの研究報告。
事実を単独で提示する方がより良い結果が得られるという研究もあれば、事実と物語が織り交ぜられた場合の方が良いという研究もある。物語は感情的な繋がりを橋渡しするのに役立つ。ある人が他人を説得したり影響を及ぼそうとしている場合に、彼らは物語を使用するべきなのか、事実に固執するべきなのか。
「物語は、少なくとも部分的には、事実を評価する能力を混乱させることによって説得するのであり、ただ単に前向きに考えるようにバイアスをかけるのではない」と共同研究者のレベッカ・クラウスは述べている。
物語ることと説得に関する先行研究では、物語がより多くの説得につながることが実証されていた。
けれども、どうして物語がより説得力をもつのかは明らかではなかったという。物語は人々をメッセージの良い側面に焦点に合わせ、否定的な側面から遠ざけるのかもしれない。あるいは物語は人々の情報処理能力を混乱させるのかもしれない。
事実、物語、説得の間の相互座用を検証するために、研究チームは、成人397名を対象に、ムーンストーンと呼ばれる架空ブランドの携帯電話に関する事実セットを評価させた。
人々の半数は電話に関する事実のみを読み、残りの半数は事実が埋め込まれた物語を読んだ。強力な事実として、「電話は最大30フィートの落下に耐える」を使用し、弱い事実として「電話は最大3フィートの落下に耐える」を使用した。
研究チームは、事実が弱い時には、物語が事実のみよりも大きな説得につながることを発見した。けれども、事実が強い時には、反対の効果が発生したという。事実のみのほうが物語よりも説得力があったのである。この結果が示唆しているのは、物語が単に弱い事実から人々を遠ざけるだけはないということだ。それは人々の情報処理能力を弱めるのである。その結果、事実が弱い時には物語は説得力を増すが、事実が強力な時には説得力を損なう方向に働くのである。
出典は『性格と社会心理学公報』。 (論文要旨)
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