2019.8.26
, EurekAlert より:
食生活の変化は、社会規範の浸透と自己効力感がその主要な駆動力であるかもしれない、という研究報告。
21世紀の最も偉大な挑戦のひとつに、惑星のために持続可能であると同時にヒトの体に良い食事を開発するというものがある。IIASA主導の研究は、持続可能な食事への広範囲にわたるシフトの主要な駆動力について、新しく開発された集団行動力学のコンピュータモデルを用いて探求している。
高い肉摂取量、特に赤肉と加工肉は、糖尿病、心疾患、種々のがんのような良くない健康アウトカムとリンクする。食肉生産をする畜産農家はまた、大きな環境フィンガープリントを持っている。牧畜の場所を確保するための森林伐採によって土地と水資源の崩壊、生物学的多様性の喪失が起き、肉生産はメタンガスの排出を高める。
これまでいくつもの研究が、食事を変えること、特に赤肉の消費を下げることで、地球温暖化や環境破壊を緩和できることを示唆しているが、そこで想定される食事変化が実際には達成困難なものであることも明らかだった。
研究チームは、どのような要因が食事シフトの駆動力となるのかを明らかにしようとコンピュータモデルを用いて検討した。食事の心理学的理論に基づいた集団動力学的変化を、収入、社会規範、環境リスクの認識、健康リスクの認識、自己効力感といった因子について、性、年齢、学歴の不均一性を考慮しながら検討した。
その結果、自己効力感に沿った社会規範(ある社会で順守しなければならない明文化されていない行動規則)が、集団ベースにおける食事シフトの主要な駆動力であることが明らかになったという。また、食事シフトは、より若い集団に社会規範がいかに素早く浸透するかに影響されること、女性の自己効力感が特に重要なことも明らかになった。
出典は『ネイチャー持続可能性』。 (論文要旨)
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