2019.8.22
, EurekAlert より:
新生児の体内で腸内細菌が作り出すある種の化合物が、後年のアレルギーや喘息リスクの高さと関連するかもしれない、という米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校からの研究報告。
研究チームは、以前の研究において、不健康な腸内細菌エコシステム(悪玉の細菌が多い)をもつ生後1か月の乳児が、後年の喘息リスクの上昇と関連することを報告していた。また、これらの乳児の糞便中に豊富に含まれる特異的な脂肪分子12,13-diHOMEが、アレルギー性炎症を抑える制御性T細胞(Tregs)の発現を低下させることを示した。
今回研究チームは、この細菌由来の分子が直接小児の喘息とアレルギーリスクに関わっているかどうかを検証した。
まず、マウスの腸に12,13-diHOMEを注入すると、肺のTreg細胞数が減少すること、そしてこの分子がTregsと他の免疫細胞機能を分子レベルで変化させることを示した。
この炎症促進性脂質がどこに由来するのかを理解するために、研究チームは41名の1か月齢児の糞便検体から微生物の遺伝子を解析し、12,13-diHOMEの3つの異なる細菌性遺伝子のコピー数、あるいは糞便中のこの脂肪自体の濃度が、2歳時におけるアレルギーと4歳時における喘息の発症を予測することを発見した。
研究チームは、別の独立したコホートの50名の1か月齢児の糞便検体で、結果の再現性を確認した。
「これは複雑な微生物・免疫相互作用のたったひとつの構成要素に過ぎないだろう」と主任研究者のスーザン・リンチ教授は述べている。「だが、これは、微生物代謝物がアレルギーや喘息リスクを高めるメカニズムを解明する第一歩であるのだ。」
出典は『ネイチャー微生物学』。 (論文要旨)
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