2019.7.24
, EurekAlert より:
人々は、彼らが望む結論が支持されるデータが集まったときには、支持されないデータが集まったときよりも早期にエビデンスの収集を中止する傾向が高いことが示唆された。英国ユニバーシティカレッジロンドンの研究報告。
既に先行研究では、人々はある信条を別の信条よりも欲する気持ちが、情報を収集を止めるかどうかの決定に影響することが示唆されていた。たとえば、最初の診断の結果が好ましいものだったら、好ましくないものだった時に比べて、医師のセカンドオピニオンを求める気持ちは弱くなる。
けれども、これらの研究にはあるデザイン上の限界があって、堅牢な結論付けを妨げてきたという。このバイアスの背後にある原因は以前には未知のものだった。人々の行動を数学モデルにフィッティングすることによって、フィリップ・ゲジアズら研究チームは、このバイアスの原因を明らかにしようとした。
「我々の研究が示唆しているのは、人々が彼らに好ましい結論を仮定して始めると、それを支持するエビデンスを支持しないエビデンスよりも真実で重く見がちだということである。それ故、人々は、結果を危うくする可能性のあるそれ以上の追加の情報を集める必要はないと気付くのだろう」とゲジアズは語っている。
研究チームは、84名の参加者に、オンライン分類ゲームをしてもらった。そのゲームでは、参加者は必要なだけ判断の助けになるエビデンスを集めることができ、その信頼性に基づいて支払う仕組みであった。加えて、そのエビデンスが、ボーナスポイントがもらえるあるカテゴリにつながるものであったり、逆にポイントを失うカテゴリにつながるものであったりした。それゆえ、ここには特別な判断へ繋がるエビデンスを望む理由が存在したが、参加者が報酬を最大化するには、正確な反応をする必要があった。にもかかわらず、研究チームは、参加者が、彼らが望む結論が真実であることを支持するエビデンスが得られると、望ましくない結論を支持するエビデンスを得た時よりも早期にエビデンスの収集を止めることを発見した。
「現代は、制限のない量の情報がマウスクリックで入手可能である」とシャロットは言う。「けれども、人々は望ましいいくつかの情報をみつけたときにそれ以上検索を続けない傾向が高いので、そのデータは必ずしもより正確な信条に繋がるとはいえないのである。」
出典は『プロスコンピュータ生物学』。 (論文要旨)
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